防虫剤(読み)ぼうちゅうざい

  • ぼうちゅうざい バウチュウ‥
  • ぼうちゅうざい〔バウチユウ〕
  • 防虫剤 insect repellent

世界大百科事典 第2版の解説

動植物性の素材を含む製品(たとえば繊維毛皮,木工品,標本)を虫害から守るために用いる薬剤で,それ自身には殺虫性はなくても,結果として害虫を忌避させる効果をもつものである。家庭のたんすに入れてあるナフタレンなどは古くから知られている例である。密閉された格納容器の中に揮発性のナフタレンを置き,これから出る蒸気が狭い空間で濃度を高められ害虫の忌避反応を生じるものである。ショウノウパラジクロロベンゼンなど多くの薬剤が同様に作用する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通常使用する濃度や量ではかならずしも殺虫能力はないが、虫の忌避する臭(にお)いなどで寄せ付けないようにし、被害を防止する化学物質やその製剤をいう。

 狭義には、衣類などの繊維製品を食害から守る薬剤をいう。繊維のうちとくに羊毛や絹などタンパク質繊維は食害を受けやすく、炭水化物の綿や麻は比較的加害されにくい。ポリエステルやポリアミドなど合成繊維は虫の栄養にならないから食害されない。イガ(衣蛾)とシミ(衣魚)は炭水化物とタンパク質の両方の繊維を、カツオブシムシの幼虫はタンパク質繊維だけを食害する。

 衣類や毛皮のほか、書籍や標本などの防虫剤として古くから樟脳(しょうのう)やナフタレンが使われたが、現在ではより効果の高いパラジクロルベンゼンを使うことが多い。これらは常温で徐々に昇華(固体から液体を経ずに気体となること)して狭い間隙(かんげき)にまで浸透拡散する。害虫は触角や気門などでこの気体を感じ、虫にとって好ましくない性質なので忌避する。溶媒に溶かして繊維に吸着させ、半永久的に害虫の食害を予防するロテノン(デリスの根の成分)、合成化合物のオイランやミッチンなども防虫剤として実用化されている。

 広義には、皮膚に塗りカなどの刺害を予防するジメチルフタレート、衣服に吸着させてノミやシラミの寄生を防ぐベンジルベンゾエートやN‐メチルアセタミドなど、あるいは木材に注入してシロアリの食害を防止するクロルデンなども防虫剤の一種である。

[村田道雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 殺虫性はないが害虫のきらう臭いで、害虫をよせつけないようにし、その害を防ぐ薬剤。しょうのう、ナフタリン、パラジクロロベンゼンの類。
※コスモスの友(1936)〈川端康成〉三「片手に防虫剤用の噴霧器を携へ」

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