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[日本とのかかわり]
坪内逍遥以来,日本の新劇の歴史はシェークスピア上演の歴史とほとんど並行しているといえるほどであるが,戯曲創作においても,福田恒存や井上ひさしがシェークスピア翻案を行っている。《マクベス》を換骨奪胎した黒沢明の映画《蜘蛛巣城》(1957)は外国でも評価が高い。ほかには,シングなどアイルランド劇作家から方言劇の手法を学びとった木下順二,ベケットの不条理劇の影響を強く受けた別役実など。…
…独特の精神主義とリアリズムに徹した映画的技術を2本の柱にして,敗戦後の日本の精神的・物質的状況をダイナミックに分析し(《わが青春に悔なし》1946,《素晴らしき日曜日》1947,《酔いどれ天使》1948,《野良犬》1949),《羅生門》(1950)では,芥川竜之介の《藪の中》に基づく独創的な構成と映像で,世界の映画界を驚嘆させた(ベネチア映画祭グラン・プリ,アカデミー外国語映画賞受賞)。以後,世界文学の映像化(ドストエフスキーの《白痴》1951,シェークスピアの《マクベス》の映画化《蜘蛛巣城》1957,ゴーリキーの《どん底》1957),〈黒沢ヒューマニズム〉の名で呼ばれる人間探求(《生きる》1952),アメリカの西部劇や冒険活劇のスケールを日本の時代劇にとり入れたアクションドラマ(《七人の侍》1954,《隠し砦の三悪人》1958),さらに,その暴力描写のリアリズムによって日本のチャンバラ時代劇の歴史を変えるだけでなく,〈マカロニウェスタン〉と呼ばれるイタリア製西部劇を生み出すきっかけとなって西部劇の歴史をも変えることになる〈黒沢時代劇〉(《用心棒》1961,《椿三十郎》1962)等々,意欲的な試みを行って数々の傑作を生んだ。数人のシナリオライター(小国英雄,菊島隆三,橋本忍らに本人みずからも参加)に同一のシーンを別々に書かせて最高のでき上りのものを採用していくという独特の共同作業によるシナリオづくりも注目された。…
※「蜘蛛巣城」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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