西村勝三(読み)ニシムラ カツゾウ

20世紀日本人名事典 「西村勝三」の解説

西村 勝三
ニシムラ カツゾウ

明治期の実業家 品川白煉瓦創立者;桜組創業者。



生年
天保7年12月9日(1837年)

没年
明治40(1907)年1月31日

出生地
江戸

出身地
下総国佐倉(千葉県)

別名
幼名=三平,通称=伊勢屋 勝三,伊勢勝

経歴
下野佐野藩(下総国佐倉藩支藩)家老(側用人)の三男西洋砲術を学び佐野藩に仕えたが、安政3年脱藩して商工業に転じる。慶応3年江戸に銃砲店を開業、維新の際には銃砲弾薬の販売で巨利を得、維新後大総督府御用達となる。明治初年各種事業に手を広げ、その大半は失敗したが、明治3年東京築地に創業の伊勢勝製靴工場は“桜組”皮革会社(17年改称)として発展。4年メリヤス工場を設立。また8年には耐火煉瓦製造業を始め、20年品川白煉瓦製造所を設立、官営工場の払下げをうけて発展。35年日本製靴会社(桜組 大倉組のほか2社合同)創立に参与し監査役となる。晩年には工業教育、工業史の編纂にも私費を投じ、「日本近世窯業史」「日本近世造船史」を編纂させた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西村勝三」の意味・わかりやすい解説

西村勝三
にしむらかつぞう
(1836―1907)

実業家。下野(しもつけ)(栃木県)佐野藩附家老、下総(しもうさ)(千葉県)佐倉本藩側用人(そばようにん)西村芳郁の三男として江戸藩邸内に生まれる。西村茂樹(しげき)は兄。初め佐野藩に仕えるが、幕府の海軍伝習生への希望がかなえられず、脱藩流浪後、一転して実業を志す。幕末維新期の銃砲弾薬商として築いた資産を基礎に、明治初年以来きわめて多数の事業に着手した。その諸事業はおおむね失敗したが、1870年(明治3)軍用靴製造の目的で始めた製革・製靴事業は旧藩佐倉にちなむ「桜組」の名とともに発展したほか、75年に始めた耐火煉瓦(れんが)製造業は官営深川工場の払下げとともに発展し、「品川白煉瓦」の名称で今日も知られている。また彼が公共事業や実業教育に注いだ努力も忘れられない。

[浅野俊光]

『西村翁伝記編纂会編・刊『西村勝三翁伝』(1921)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西村勝三」の解説

西村勝三 にしむら-かつぞう

1837*-1907 幕末-明治時代の実業家。
天保(てんぽう)7年12月9日生まれ。西村茂樹の弟。下野(しもつけ)(栃木県)佐野藩士。脱藩して商人に転じ,鉄砲,弾薬の販売で資産をきずく。明治3年東京に伊勢勝(いせかつ)製靴工場,製革工場(のちの桜組)を創業,また官営の耐火煉瓦(れんが)工場などの払い下げをうけ品川白煉瓦として発展させた。明治40年1月31日死去。72歳。通称は伊勢勝。

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367日誕生日大事典 「西村勝三」の解説

西村 勝三 (にしむら かつぞう)

生年月日:1837年12月9日
明治時代の実業家
1907年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の西村勝三の言及

【編物】より

…教本も出版されて女子の間に手芸編物が流行した。1871年(明治4)西村勝三が,数台の編機を輸入して東京築地に工場をつくり,靴下を製造したのが日本におけるニット工業機械編の始まりである。これ以後,1924年萩原まさが手編機を,26年佐野寅之助,塚田右兵衛両名がシンカ針を,28年森音次郎がメリヤス針を発明した。…

【靴】より

…一方,幕府は文久・慶応年間(1861‐68)伝習生に洋式訓練を施す必要上,伝習靴(軍靴)を輸入していたが,足幅が広く甲高の日本人の足型に適合しなかった。日本人による洋靴の生産は1869年(明治2),大村益次郎のすすめで佐倉藩士の西村勝三が製造したことに始まる。西村は前述のレマルシャンや中国人藩浩を雇い入れ,東京の入舟町に練習場を設け,まず靴工の養成にとりかかった。…

【クラブ】より

…なお,国際的なクラブにはロータリー・クラブ,ライオンズ・クラブなどがある。【川北 稔】
[日本]
 日本では,1872年(明治5)実業家西村勝三らが,ヨーロッパのクラブを範として,東京築地に建設した〈ナショナルクラブ〉が最初であろう。76年には福沢諭吉がクラブの性質をもった集会所を建てた。…

※「西村勝三」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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