見見(読み)みすみす

精選版 日本国語大辞典 「見見」の意味・読み・例文・類語

みす‐みす【見見】

[1] 〘副〙 (動詞「みす(見)」の終止形を重ねてできた語)
① 目の前に見えていながら。見せているうちに。
平中(965頃)三七「沼水に君は生ひねど刈る菰のめに見す見すも生ひまさるかな」
源氏(1001‐14頃)手習「目にみすみす生ける人をかかる雨に、うち失はせむは」
② 成り行き、結果などがはっきりわかっていて、そうなるさま、また、わかっていながら、あえて、事を行なうさまを表わす。多く、悪い状況、結果などを予測できる場合に用いる。
仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)上「君が仇にみすみすならんいかづちの雲間に落ちて頭とるべく」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉八「見(ミ)す見(ミ)す苦しい事をするのを知らぬ顔は出来ず」
[2] 〘形動〙 ((一)から転じて) 目に見えて、はっきりしているさま。見えすいているさま。
歌舞伎桑名屋徳蔵入船物語(1770)四「お前もヤアみすみすな事を」
[補注](一)①は古くは「目に見す見す」の形で用いられ、この形だと動詞性が強く、副詞としにくいが、便宜、副詞として扱った。

みる‐みる【見見】

(動詞「みる(見)」の終止形を重ねた語)
[1] 〘連語〙 繰り返し見る。多く、連用修飾句として用いる。目の前に見ていながら。見ているうちに。
※平中(965頃)三七「刈る菰のめにみるみるぞうとまるる心あさかの沼に見ゆれば」
[2] 〘副〙 見ているうちに急激に様子が変わるさま。見る間に。たちまち。
※読本・雨月物語(1776)吉備津の釜「看看(ミルミル)露ばかりのしるしもなく、七日にして空しくなりぬ」

みえ‐みえ【見見】

〘形動〙
① 隠された意図や、企みなどがはっきりしているさま。見え透いているさま。
※にんげん動物園(1981)〈中島梓〉九六「そうね、山藤さんみたいな人じゃないかしら。(と、見え見えゴマをする)」
② 結果や将来のことなどが、たやすく予測や判断ができるさま。
※ソクラテス最期の弁明(1975)〈小峰元〉 How did they kill him? 「仮に卒業できても先きは〝見え見え〟の安サラリーマンだ」

み‐み・ゆ【見見】

〘自ヤ下二〙 (「見ゆ」は「見られる」で、見もし見られもするの意) あい会う。まみえる。
※日蓮遺文‐五人土籠御書(1271)「ろうをいでさせ給なば、明年のはるかならずきたり給、みみへまゐらすべし」

みい‐みい【見見】

〘副〙 (動詞「みる(見)」の連用形「み」を重ねた「みみ」の変化したもの) 何度も繰り返し見て。また、見ることをしながら。
※雑俳・川傍柳(1780‐83)三「今坂を見い見いしめる京真田」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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