法律上は親子関係があるとされる場合において、真の親子関係がないことを確認すること。親子関係は、単なる事実関係ではなく、一つの法律関係であるから、その存否いかんが、審判ないし判決の目的となりうることは、特別な規定がなくても当然のことである。したがって、たとえば、他人夫婦の子として届出されているとか、妻の生んだ子であるが夫の子ではない(ただし、夫の推定された嫡出子の場合を除く)、妻の非嫡出子となっているが妻の子ではない、などというように、戸籍上あるいは法律上親子関係があるとされていても、その実、親子関係がない場合には、利害関係人はだれでも、またいつでも、当該親子関係不存在確認の審判、判決を受けることができる。さらにそれをもとに戸籍を訂正することができる。当事者については規定がないが、判例は、父母双方と子がともに生存しておればこれら三者が当事者となり、父母の一方が死亡しているときは生存する親と子との間でこの訴えが許され、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した場合でも、生存している一方は検察官を被告として、死者との間の親子関係不存在の確認を求めることができるとしている。また第三者が死者と生存者間の親子関係の存否確認を求めるには、生存者のみを被告とすれば足りるとしている。推定された嫡出子の場合は、この方法によることができず、嫡出否認の訴えによらなければならない(民法775条)。
[山本正憲・野澤正充]
…嫡出否認(夫婦間に出生した子すなわち嫡出子を父親が否認する),認知,親子関係不存在確認(もらい子などが偽りの届出により嫡出子になっているが,ほんとうは親子でないことを確認する)などの場合や,まれではあるが病(産)院で子を取り違えた疑いが生じた際などに,当事者間に生物学的な親子関係が存在するかどうかを自然科学的に検査して決めること。これには古くから,規則正しい単純な遺伝を示す血液の多型形質が利用されてきたが,最近ではDNA多型(DNA型。…
※「親子関係不存在確認」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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