観世音寺境内及び子院跡(読み)かんぜおんじけいだいおよびしいんあと

国指定史跡ガイドの解説

かんぜおんじけいだいおよびしいんあと【観世音寺境内及び子院跡】


福岡県太宰府市観世音寺にある寺院。指定名称は「観世音寺境内及び子院跡 附老司瓦窯跡(つけたりろうじかわらがまあと)」。大宰府政庁跡の東側に位置し、天智天皇が亡き母斉明天皇の菩提を弔うために発願し、八十数年をかけて746年(天平18)に落成したという。くわしい縁起は伝わっていないが、境内から出土した瓦で創建時のものとされるのは、現在の福岡市南区にあった老司瓦窯で焼かれた老司式と呼ばれる7世紀にさかのぼるものである。現存する梵鐘(ぼんしょう)(国宝)は「戊戌年」(文武天皇2年=698年)の銘がある京都妙心寺の梵鐘と同一の木型で鋳造された鐘とみなされており、7世紀の末ごろには伽藍(がらん)が整っていたと推測される。761年(天平宝字5)には鑑真(がんじん)がここに戒壇院を設け、東大寺、下野(しもつけ)薬師寺(栃木県)とともに三戒壇の一つとされる。905年(延喜5)の『観世音寺資財帳』(国宝)によると、金堂、講堂、五重塔、鐘楼、回廊、中門、南大門、戒壇院などのほか、僧坊や多くの子院があり、九州随一の規模を誇っていたことがわかる。平安時代以降は火災や風害によって堂宇や仏像をことごとく失い、東大寺の末寺となった時期もあり、現存する仏像は1064年(康平7)の火災以後の復興像である。江戸時代に金堂と講堂(本堂)が再興され、明治時代以降は天台宗の寺院になっている。いずれも像高約5mの馬頭観音立像、不空羂索(ふくうけんじゃく)観音立像、十一面観音立像をはじめ多くの仏像が重要文化財に指定され、子院跡を含めた境内は老司瓦窯跡とともに1970年(昭和45)に国の史跡に指定された。西日本鉄道西鉄太宰府線西鉄五条駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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