観心寺境内(読み)かんしんじけいだい

国指定史跡ガイド 「観心寺境内」の解説

かんしんじけいだい【観心寺境内】


大阪府河内長野市寺元にある高野山真言宗の寺院。701年(大宝1)、役小角(えんのおづぬ)が開創したと伝えられる。その後、808年(大同3)につづき815年(弘仁6)、空海が訪れ、みずから如意輪観音像を刻んで安置し、「観心寺」の寺号を与えたという。実質的な開基は空海の弟子実恵(じちえ)で、『観心寺縁起資財帳』(国宝)によると827年(天長4)、実恵の意を受け、弟子の真紹(しんじょう)が造営を始めた。その後、広大な荘園を保有し、密教の道場として栄えた。鎌倉時代末には楠木正成(くすのきまさしげ)が幼年時に学問所としたという伝承もあるなど、楠木氏一族の本拠地であり、後村上天皇の行在所(あんざいしょ)が置かれたこともあった。室町時代以降は、管領畠山氏や豊臣氏の庇護を受けて栄えた。伽藍(がらん)の中心となる国宝の金堂は、南北朝時代の建立で、和様と禅宗様の要素が混在する「折衷様」の建築様式。厨子内に安置される本尊・木造如意輪観音坐像(国宝)は空海作と伝えられ、平安時代前期に造られた秘仏で、像高109.4cm。表面の彩色や文様もよく残る日本における密教美術の代表作である。境内には縁のある正成の首塚がある。1934年(昭和9)、国指定史跡になった。南海電気鉄道高野線ほか河内長野駅から南海バス「観心寺」下車徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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