言い做す(読み)イイナス

デジタル大辞泉 「言い做す」の意味・読み・例文・類語

いい‐な・す〔いひ‐〕【言い×做す】

[動サ五(四)]
事実とは違うことを事実らしく言う。「彼が犯人であるかのように―・す」「針を棒に―・す」
取りなして言う。取りはからって言う。「巧みに―・して仲直りさせる」
特に強調して言う。言いたてる。
「この男が渚山をまるで仲間か何かのように―・すのも無理がないほど」〈佐藤春夫都会の憂鬱〉
[類語]言い含める説得説き伏せる説きつける口説く説伏する言い聞かせる因果を含める引導を渡す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「言い做す」の意味・読み・例文・類語

いい‐な・すいひ‥【言做・言為】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 ( 「なす」は強いてそのようにするの意 )
  2. 事実そうでないことを、事実らしく言う。
    1. (イ) 事実とは違うことを言いこしらえる。
      1. [初出の実例]「あまの戸をあけぬあけぬといひなしてそら鳴きしつる鳥の声かな〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六二一)
    2. (ロ) よい(または、わるい)結果をもたらすように言う。とりなして言う。言いつくろう。
      1. [初出の実例]「いさや、うたてきこゆるよなれば、人もやうたていひなさんとてぞや」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
    3. (ハ) ある事物を他の事物にたとえて表現する。事実を比喩的に表わす。
      1. [初出の実例]「瑤池の桃花が此馬の毛に落て、今まであったげなと作たは、料簡して云ないたぞ」(出典:燈前夜話(15C後)上)
  3. ことさらに強調して言う。言い立てる。
    1. [初出の実例]「殿上人などの来るをも、やすからずぞ人々はいひなすなる」(出典:枕草子(10C終)八四)

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