口説く(読み)クドク

デジタル大辞泉 「口説く」の意味・読み・例文・類語

くど・く【口説く】

[動カ五(四)]《「くどくど」などの「くど」と同語源で、「口説く」は当て字か》

㋐こちらの意向相手に承知してもらおうとして、熱心に説いたり頼んだりする。説得する。「親を―・いて費用を出させる」
自分愛情恋心を受け入れるよう説得する。言い寄る。「言葉巧みに―・く」
同じことを繰り返し言う。くどくどと愚痴をこぼす。
「泣いて―・いて裟婆立つならば、おれも泣きます―・きます」〈民謡布施谷節
しきりに意中を訴える。祈願する。
「経読み仏―・き参らせらるるほどに」〈讃岐典侍日記・上〉
[可能]くどける
[類語]説き伏せる説きつける説得説伏する言い聞かせる言い含める因果を含める引導を渡す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「口説く」の意味・読み・例文・類語

くど・く【口説】

  1. ( 「くどい」「くどくど」などと同源か。また、「口説(くちと)く」の意か )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. くどくどと繰り返していう。嘆きのことばを繰り返す。しつこくいう。愚痴(ぐち)をいう。
      1. [初出の実例]「時移るまでつくづくと候ひて、又泣く泣く口説申しけるは」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
      2. 「かれうびんがの、こゑをあげて、なきつくときつ、かたりければ」(出典:御伽草子・花鳥風月(古典文庫所収)(室町末))
    2. 祈り訴える。祈願する。
      1. [初出の実例]「経よみ仏くどき参らせらるるほどに」(出典:讚岐典侍(1108頃)上)
    3. 謡曲で、悲歎、恋慕述懐などの情を低く吟詠する。
      1. [初出の実例]「常盛の能に、此女思ひいれてすべきを、皆浅くする也。人のうたふまでうつぶき入て、其うちよりくどき出すべし」(出典:申楽談儀(1430)よろづの物まねは心根)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. 男女の間で、相手を自分の意に従わせようとして、しきりに説得や懇願をする。求愛する。
      1. [初出の実例]「我は男ぞ何とくどいたやらなびゐたよ」(出典:京大二十冊本毛詩抄(1535頃)三)
    2. 話して、納得させる。説得する。
      1. [初出の実例]「項羽が老臣、項羽に口説(クドイ)て云けるは」(出典太平記(14C後)二八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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