認定看護師(読み)ニンテイカンゴシ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「認定看護師」の意味・わかりやすい解説

認定看護師
にんていかんごし

ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として日本看護協会が認定した看護師。CN(certified nurse)と略称される。

 認定看護師の資格は、日本国の看護師免許を有し、実務経験が5年以上(認定看護分野で3年以上)ある看護師が、日本看護協会が認定する教育機関(課程)で600時間以上の認定看護師教育課程を修了し、認定審査に合格した場合に与えられる。認定証の有効期限は5年であり、資格更新には更新審査を受ける必要がある。なお「認定看護師」の名称は、日本看護協会の登録商標である。

 認定看護師は、以下の役割を果たすことが期待されている。

(1)実践 個人、家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術および知識を用いて水準の高い看護を実践する。

(2)指導 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。

(3)相談 看護職等に対しコンサルテーションを行う。

 2019年(令和1)12月末時点において、認定看護分野に定められている分野は21分野(救急看護、集中ケア、皮膚排泄(はいせつ)ケア、緩和ケア、がん性疼痛(とうつう)看護、がん化学療法看護、感染管理、訪問看護、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下(えんげ)障害看護、小児救急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看護、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護)であり、計2万1049人が認定看護師として登録されている。

[横山美樹 2021年6月21日]

認定看護師制度の改正

認定看護師制度は、看護を必要とする対象に水準の高い看護を実践できる看護師を社会に送り出すことにより、日本における看護ケアの広がり、質の向上を図ることを目的として1995年(平成7)に創設されたものである。しかしながら、1995年当時から日本の社会背景は変化し、医療施設から地域へ医療提供体制が広がったことにより、急性期医療だけでなく、在宅も含めたあらゆる場で看護を必要とする人に対するケアが実践できる看護師が求められるようになった。そこで、将来ニーズに対応し、より水準の高い看護を実践できる認定看護師を社会に送り出すため、2019年(平成31)2月に認定看護師規定が改正された。前述した認定看護師に期待される役割(1)の「高い臨床推論力と病態判断力に基づき」は、2019年の改正で追加された内容である。同様に(3)の「看護職等に対し」は、場と対象の広がりから「看護者に対し」から修正されたものである。

 制度改正の大きな柱は、認定看護分野の統合と、特定行為研修(医師判断を待たずに、「手順書」により一定診療の補助業務=特定行為を行える看護師を養成するための研修)を組み込んだ新たな認定看護師教育の開始の2点である。

 認定看護分野の統合については、本改正により、救急看護と集中ケア、緩和ケアとがん性疼痛看護が統合されたほか、9分野の分野名が変更され、新たに全19分野(クリティカルケア、緩和ケア、がん薬物療法看護、在宅ケア、生殖看護、腎(じん)不全看護、摂食嚥下障害看護、小児プライマリケア、脳卒中看護、呼吸器疾患看護、心不全看護、皮膚・排泄ケア、感染管理、糖尿病看護、新生児集中ケア、手術看護、乳がん看護、認知症看護、がん放射線療法看護)とされた。

 新たな認定看護師教育は2020年度から開始されており、2021年6月現在で922人が認定されているが、前制度に基づいた認定看護師教育も2026年度まで実施され、認定審査は2029年度まで継続される。また、前制度のもとで認定された認定看護師が新たな制度に基づく認定看護師になるための移行手続きが2021年度から開始されているが、前制度に基づく認定看護師更新審査は継続して行われるため、移行せず旧来の認定看護師資格を更新することも可能である。

[横山美樹 2021年6月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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