日本大百科全書(ニッポニカ) 「語絲」の意味・わかりやすい解説
語絲
ごし
中国の週刊文芸雑誌。1924年北京(ペキン)で創刊、27年軍閥張作霖(ちょうさくりん/チャンツオリン)により発禁に付せられたが上海(シャンハイ)で復刊、30年廃刊。毎号10ページ足らずの小冊に風刺的雑文から詩的創作までを含む自由な小品を載せて、北伐国民革命前後の混乱のなかでよく新文化の灯を守り通しつつ近代的散文の確立に大きく貢献した。
北洋軍閥政府の息のかかった『現代評論』と対立し、のちには新興左翼の革命文学論とも論争を辞さなかったところから、「語絲派」の名は政治上一種の急進的中間派を意味するに至ったが、同人の思想的立場は本来さまざまで、その結束もきわめて緩いものであった。事実上の編集を、北京では周作人(しゅうさくじん/チョウツオレン)、上海では魯迅(ろじん/ルーシュン)ついで柔石(じゅうせき/ロウシー)がそれぞれ担当した。
[木山英雄]