諸橋稲荷神社(読み)もろはしいなりじんじや

日本歴史地名大系 「諸橋稲荷神社」の解説

諸橋稲荷神社
もろはしいなりじんじや

[現在地名]穴水町前波

諸橋川河口左岸に鎮座する旧郷社。東は海上はるかに立山連峰を望み、社殿背後に七世紀前後と推定される三基の古墳がある。主祭神は神目伊豆岐比古神ほか二神。「能登志徴」の引く延享四年(一七四七)の由来記によると、天平勝宝元年(七四九)創建と伝え、「延喜式」神名帳にみえる鳳至郡九座の一つ「神目伊豆伎カムメイツキノ比古神社」に比定される。なお同社の後身を主張する神社として、他に沖波おきなみ諏訪神社および能都のと藤波の神目ふじなみのかんのめ神社がある。

当社は、中世には諸橋六郷の惣社として崇敬された。延徳三年(一四九一)七月の稲荷宮神役申状案(諸橋稲荷神社文書)によると、「諸橋本郷稲荷宮」の神主嘉重は能登守護畠山氏の奉行所に神事・造営料の安堵を求めており、当時諸橋本郷・阿曾良あそら鹿波かなみ古君ふるきみおよび波並はなみ藤波ふじなみ宇出津うしつ(現能都町)から年中神事料として二四貫五四六文が納められていたが、鹿波・藤波の負担分は未進であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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