相続財産と相続人の固有財産が混同しないように両者を分離して管理・清算する手続き。相続によって相続財産(債務も含めて)と相続人の固有財産(債務を含めて)とが混同すると、(1)相続人が債務超過の場合には被相続人の債権者と受遺者(遺言で遺贈を受ける者)が、(2)相続財産が債務超過の場合には相続人の債権者が、それぞれ十分な弁済を受けられなくなるおそれが生ずる。そのような不利益から免れさせるために、それらの者は、相続財産と相続人の固有財産とを分離して、(1)の場合には被相続人の債権者と受遺者が相続財産から、(2)の場合には相続人の債権者が相続人の固有財産から、それぞれ優先的に弁済を受けることが認められている(民法941条~950条)。この利益を受けようとするときは、相続開始のときから3か月以内に、その旨を家庭裁判所に申し立てなければならない(民法941条)。
[高橋康之・野澤正充]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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