貨幣状皮膚炎(読み)かへいじょうひふえん(英語表記)Nummular dermatitis

六訂版 家庭医学大全科 「貨幣状皮膚炎」の解説

貨幣状皮膚炎
かへいじょうひふえん
Nummular dermatitis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 10円硬貨くらいの大きさの湿疹がいくつも現れ、強いかゆみがあります(図3)。

原因は何か

 皮膚の乾燥が原因になることが多く(皮脂減少性(ひしげんしょうせい)皮膚炎)、秋から冬にかけて空気の乾燥や暖房に伴って現れ、悪化します。

 また、金属アレルギーや扁桃腺炎(へんとうせんえん)歯周病(ししゅうびょう)などの細菌感染が原因になることもあります。

症状の現れ方

 小さな丘疹(きゅうしん)がかゆみとともに次第に大きくなり、硬貨から鶏卵くらいの大きさの円形楕円形茶褐色の湿疹が下肢、とくにすねの部分に現れ、次第に腕や体幹に広がっていきます。強いかゆみがあり、時には睡眠が妨げられることもあります。表面からは滲出液(しんしゅつえき)が出てじくじくしたり、かさぶたになることを繰り返します。乾燥が原因の場合には、春から夏になると次第に軽くなります。

検査と診断

 円形の紅斑(こうはん)が次第に大きくなり、とくにステロイド外用薬を塗っても効果がみられない場合、白癬菌症(はくせんきんしょう)(たむし)の可能性があります。厚く白い鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれ落ちる角質)がみられ、(ひじ)(ひざ)をはじめ全身に円形の紅斑がみられる場合は、乾癬(かんせん)の可能性があります。皮膚科を受診し、時には皮膚の生検で診断をします。

治療の方法

 皮膚の乾燥による場合には入浴後に全身に保湿クリームやローションを塗り、病変にはステロイド外用薬を塗ります。かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬を内服します。

病気に気づいたらどうする

 過度の暖房をひかえ、入浴時の洗いすぎ(ナイロンタオルなど)を避け、皮膚の乾燥を防ぐよう心がけてください。アルコール香辛料血行を良くしてかゆみが強くなることがあります。かくことで病変は悪化するため、早めに皮膚科を受診して治療を始めるようにします。

加藤 則人


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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