赤前村(読み)あかまえむら

日本歴史地名大系 「赤前村」の解説

赤前村
あかまえむら

[現在地名]宮古市赤前

宮古湾の南岸、津軽石つがるいし村の東に位置する。元亨四年(一三二四)一一月二三日の関東下知状案(宮古田鎖文書)によれば、閉伊三郎左衛門尉光員の遺領として「赤前」が光頼に分譲されている。また建武元年(一三三四)と推定される閉伊親光言上状(盛岡南部文書)によれば、北畠顕家が「赤前」の地を閉伊親光に安堵している。赤前集落の西端には赤前氏の館跡があり、館山の頂上には八幡宮がある。八幡宮の社伝によると延元元年(一三三六)赤前治郎左衛門為義の時、主従二七人で釜石尾崎から来住したという。閉伊親光が所領を安堵されたのちに、この地に一族のうち、のちの赤前氏が入ったものと思われる。当時の赤前は津軽石村藤畑ふじばたけを含む一帯で、津軽石川は同村荷竹にちく払川はらいがわ山際を流れており、現在も大判川おおばんがわ地名が残る。藤畑の西および南には広大な河川敷が広がり赤前氏はここに牧野を開いて育馬にあたっていたとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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