赤穂市(読み)アコウシ

デジタル大辞泉 「赤穂市」の意味・読み・例文・類語

あこう‐し〔あかほ‐〕【赤穂市】

赤穂

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日本歴史地名大系 「赤穂市」の解説

赤穂市
あこうし

面積:一二六・八五平方キロ

兵庫県の南西端に位置し、東は相生市、北は赤穂郡上郡かみごおり町、西は岡山県和気わけ日生ひなせ町、北西は同県備前市に隣接し、南は播磨灘に開ける。東・西および北の三方を標高二〇〇―四〇〇メートルの山地に囲まれ、千種ちくさ川が市の中央を北から南へ深い谷をうがって蛇行し、同川に沿った平地と河口デルタを中心に街が形成されている。気候は温暖で降水量の少ない瀬戸内式に属し、年平均気温は摂氏一五度前後、降水量は年間約一〇〇〇ミリ程度。北部に国道二号とJR山陽本線、南部に国道二五〇号・山陽自動車道とJR赤穂線が走り、JR駅五、インターチェンジ一がある。近代まで市域の大部分が赤穂郡、一部が備前国和気郡に属した。

〔原始〕

北部の小盆地に遺跡分布の中心がある。旧石器時代から縄文時代の遺物は、馬路池うまじいけ遺跡・猪壺谷ちよつぼだに遺跡で尖頭器が採集されている。縄文時代の遺跡は四ヵ所が知られ、発掘が行われた猪壺谷遺跡では後期後葉の土器を主体とし、石錘・叩石・石棒が出土している。弥生時代の遺跡は矢野やの川と千種川の合流点付近に分布の中心がある。野田のだ遺跡は中期を主体とする集落跡で、豊富な遺物のなかには回転台形土製品がある。また竪穴住居跡が発掘された遺跡は、西有年にしうね畑田はたけだ、東有年・沖田おきた有年原うねはら田中たなか牟礼むれ山田やまだ周世すせ入相いりや遺跡などがある。特筆すべき遺跡には後期の大型円形墓二基が調査された有年原・田中遺跡がある。墳墓は径約二二メートルの円形墓で、一ヵ所の陸橋部をもつ狭い周溝をめぐらし、陸橋部に相対した地点に短い方形状の突出部を造り出す。周溝内から吉備地方との関連を示す葬送用の土器が出土している。青銅器は奥山おくやま遺跡から北部九州に分布の中心がある小型製鏡、上高野かみこうの遺跡から大型の扁平鈕式銅鐸の鋳型が出土している。

古墳時代の大型古墳は、径五二メートルの帆立貝形の蟻無山ありなしやま古墳、径三二メートルのみかんのへたやま古墳が代表例である。円筒・形象埴輪が採集されている。なお与井谷口よいだにぐち(三三基)高取山たかとりやま古墳群(六基)は径三メートル、高さ一・三メートル程度の小規模な積石塚群である。後期・終末期古墳には、市内最大級の横穴式石室である尾崎大塚おさきおおつか、複室構造の横穴式石室を構築する野田二号墳(祇園塚)塚山つかやま六号墳、石棚を架構する木虎谷きとらだに二号墳、横口式石槨の北山きたやま古墳など、注目すべき石室墳が多い。

〔古代〕

千種川河口デルタは過去一千年の間に約五キロが形成されたと考えられているが、この堆積の早さは、古代から上流でタタラ製鉄が盛んに行われたことにも起因するとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「赤穂市」の意味・わかりやすい解説

赤穂〔市〕
あこう

兵庫県南西端,播磨灘にのぞむ市。西は岡山県に接する。 1951年赤穂町,坂越 (さこし) 町,高雄村が合体して市制。 55年有年村を編入。中心市街地の赤穂は千種川の三角州上に位置し,赤穂義士の町として有名。戦国時代末期に宇喜多氏が築城,のち池田氏を経て正保2 (1645) 年浅野氏の城下町となり,元禄 14 (1701) 年の殿中刃傷事件後,浅野家は断絶,以後は永井氏,森氏の城下町となる。浅野氏以来の製塩は,明治以後も千種川河口をはさむ東西の両塩浜で行われ,塩を原料とする化学工業も興った。しかし製塩法の改革で 1960年代後半に塩田は姿を消し,67年から旧西浜塩田にある製塩工場が近代工法で全国の塩の生産額の約7分の1を生産。塩田の跡地 408haは工場や住宅,文教地区に変容。赤穂御崎瀬戸内海国立公園に属する景勝地。市域南東の坂越湾内の生島樹林は天然記念物。赤穂城跡 (史跡) の石垣,上仮屋の町家,浅野家の菩提寺花岳寺,大石神社,大石良雄宅跡 (史跡) ,田淵氏庭園 (名勝) などがある。南部を JR赤穂線,山陽新幹線,山陽自動車道,国道 250号線が通じ,北部を国道2号線が通る。面積 126.85km2。人口 4万5892(2020)。

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