精選版 日本国語大辞典 「足掻」の意味・読み・例文・類語
あ‐が・く【足掻】
〘自カ五(四)〙
① 馬、牛などが地面を掻くように足を動かす。そのようにして歩き、走り、また、地を踏む。
② 手足をじたばたする。また、手足を動かしてもがく。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「思すやうに、平かにてと、手をあがきて祈り」
④ 目的に向かってじたばたする。もがき苦しむ。気をもむ。
※玉塵抄(1563)一〇「財宝をほしがってあがけば、わざわい恥辱なことが来ぞ」
⑤ まめに動いて一所懸命に励む。また、気をもんで働く。あくせくする。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑥ 口をきく、隠語などを使うことをいう、人形浄瑠璃社会の隠語。
※洒落本・浪花色八卦(1757)桔梗卦「古るけれど折にはせんぼうもあがき」
あ‐がき【足掻】
〘名〙 (動詞「あがく(足掻)」の連用形の名詞化)
① 馬、牛などが足で地面を蹴ること。転じて、馬の歩みの意に用いられることが多い。
※万葉(8C後)一一・二五一〇「赤駒が足我枳(アガキ)速けば雲居にも隠り行かむぞ袖枕(ま)け吾妹(わぎも)」
※読本・椿説弓張月(1807‐11)前「馬の足掻(アガキ)をはやめてかへり給へば」
② 手足の動き。手足を屈伸させること。動作。
※滑稽本・寒紅丑日待(1816‐26)めでたい事「むぐったところのあがきがいいのサ」
③ (子供などが)いたずらをしてあばれること。悪騒ぎ。
④ 生活上の苦しみなどで、もがくこと。
あし‐がき【足掻】
〘名〙
① 馬などが前脚で地面を蹴ること。あがき。
※大観本謡曲・知章(1427頃)「沖の方に向ひ高嘶(たかいなな)きし、足掻(アシガ)きしてぞ立ったりける」
あし‐かき【足掻】
〘名〙 イネ科の多年草。本州中部以西の浅い水辺、海岸地の湿った所などに生える。茎の基部は水中を長くはい、上部は水上に出て高さ五〇~六〇センチメートルに達する。葉は細く、長さ約八~一五センチメートルで先がとがっている。夏から秋に、淡緑色の花穂が出る。
※俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)何毛第三「なたのしほやの尺八のあな あしかきにかかる瓜さねほの見えて」
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