日本大百科全書(ニッポニカ) 「身分代表」の意味・わかりやすい解説
身分代表
みぶんだいひょう
Ständische Vertretung
中世西欧諸国の身分制議会における各身分の代表(聖職者、貴族および都市と自治体の代表など)をいう。この身分制議会の形態は西欧各国での議会体形成の歴史的経緯に即して異なるものであり、したがってまた、議会への「代表」の法的地位は、所の「慣習法」に根ざしたものであったが、一般的には、「代表」は一個の法行為に基づくものではなかった。イギリスにおけるように地方自治団体の代表という形で議会に出席する場合でも、代表は州の住民から完全な権限委任を受けており、彼らの選出母体に請訓する必要がなかった。また、三「身分」といえどもおのおの同質的な実体を備えたものではなく、同一身分内に富と権力の持てる者と持たざる者との格差と対立を内包していたのであり、このことが議会出席者がそれぞれの「身分」を代表しえなかった実体的理由である。
[村上義和]