日本大百科全書(ニッポニカ) 「軍用道路」の意味・わかりやすい解説
軍用道路
ぐんようどうろ
軍事上の目的によりつくられた道路。戦略的には国防道路で、平時の軍隊の高速移動、補給、軍事施設への通行、ときとして航空機の臨時滑走路として利用するため、直線、立体交差を原則とする。また形、幅、勾配(こうばい)、カーブ、路面、路床を、機械化部隊の連続移動に耐えうるよう頑強につくる。第二次世界大戦前に建設されたドイツのライヒス・アウトバーンReichs-Autobahn、ソ連の五か年計画道路などがその典型。日本にも第二次大戦前は軍港や要塞(ようさい)への軍用道路があったが、戦後は存在しない。
戦術的には、軍隊の移動、補給のために工兵(施設科)によって戦場につくられる道路で、軍公路の名称もある。既設道路を補強し使用するが、ときに山野を切り開き、路盤を整備、路面を舗装して、まったく新しく建設する場合もあり、橋梁(きょうりょう)の建設もこれに含まれる。
[寺田近雄]