日本大百科全書(ニッポニカ) 「輸出入リンク制」の意味・わかりやすい解説
輸出入リンク制
ゆしゅつにゅうりんくせい
自国製品を輸出して外貨を獲得することと、外国産の輸入許可を連係linkさせるような貿易制度。リンク貿易制ともいう。通常、製品輸出と原料輸入が並行して行われる。日本では、第二次世界大戦直前に、為替(かわせ)管理を強化した際に、外国産原料の輸入許可を、製品輸出による外貨獲得を条件として付与したことに起因する。戦後においても、外貨を有効に割り当てて利用するために、羊毛や綿花などの輸入について、製品の輸出実績にリンクさせて、資金枠を決定していた。このような輸出入リンク制は管理貿易のもとでは、輸出産業の育成と加工貿易の奨励には適切な制度であった。リンク制とは逆に、輸入量に応じて輸出を許可する制度を逆リンク制という。日本では、1956年(昭和31)から、アメリカ合衆国における日本産の綿布市場を確保するために、アメリカの余剰綿花の輸入量に応じて綿製品の輸出を認めていたことがある。
[鳥谷剛三]