辻馬車(読み)ツジバシャ(その他表記)fiacre[フランス]
cab

デジタル大辞泉 「辻馬車」の意味・読み・例文・類語

つじ‐ばしゃ【×辻馬車】

道ばたで客待ちをする馬車
「騒々しき―の喇叭らっぱ」〈逍遥当世書生気質

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精選版 日本国語大辞典 「辻馬車」の意味・読み・例文・類語

つじ‐ばしゃ【辻馬車】

  1. 〘 名詞 〙 路傍で客待ちをして乗せて行く馬車。
    1. [初出の実例]「騒々しき辻馬車(ツヂバシャ)喇叭老人は杖や失なはん」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「辻馬車」の意味・わかりやすい解説

辻馬車 (つじばしゃ)
fiacre[フランス]
cab

ヨーロッパ近代初期の都市交通機関の一つで,定められた場所で客を待ち,客に指示されたところまで走行し運賃をとる二輪馬車のこと。現在のタクシーの前身である。辻馬車は貸馬車から派生したもので,辻馬車を指すフィアークルという言葉は,パリで1640年ころに貸馬車業を始めたニコラ・ソバージュなる人物が住み,その営業を行った,サンタントアーヌ街のサン・フィアークルの館に由来している。本来,貸馬車は半日とか1日,あるいは1週間とか1ヵ月と長期にわたり馬車を貸し出す商売であったが,街路の特定の場所に二輪馬車を用意して客を待ち,市内の指示されたところまでおもむく貸馬車を,後々までとくにフィアークルと呼び,それが辻馬車として特殊化したのである。そして19世紀初頭キャブリオレcabrioletという軽装二輪馬車が生まれたが,これは1820年ころイギリスにはいり,キャブと呼ばれる辻馬車となった。19世紀初頭の乗合馬車の発展によって辻馬車はおされぎみとなり,安全性や公衆衛生の面で当局からしばしば問題視された。
馬車
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世界大百科事典(旧版)内の辻馬車の言及

【馬車】より

…パスカルもアケhaquetといわれる二輪馬車を考案しているが,とくに6人乗りの乗合馬車を考案したことで知られる。ルイ14世のときには,N.ソバージュの考案による時間ぎめの辻馬車がパリに現れ,フィアクルと呼ばれた。ロンドンでも,1625年に辻馬車が現れている。…

※「辻馬車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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