迫り出す（読み）セリダス

デジタル大辞泉

せり‐だ・す【^▽迫り出す】

［動サ五（四）］
１ 前の方に出っ張る。つき出てくる。「腹が―・す」「観衆が道路に―・す」
２ 隠れていたものが表面に出てくる。
「次第と現実世界に―・して来る」〈漱石・虞美人草〉
３ 上または前へ押し上げて出す。「庇ひさしを大きく―・した建物」
４ 劇場で、迫せりを使って俳優や大道具を舞台へ押し上げる。「花道に役者を―・す」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

せり‐だ・す【迫出】

1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五（四） 〙
   1. ① 出現する。隠れていたものが現われる。表面に出る。
      1. [初出の実例]「大卅日(おほみそか)に掛とりが来ると、直に舞台をぶんまはして、他行のぶんでしらを切りの、元日にずっとせり出(ダ)し」(出典：滑稽本・浮世床（1813‐23）二)
   2. ② つき出る。前の方へと出る。
      1. [初出の実例]「少なくとも顔の長さの二分の一丈天に向ってせり出して居る」(出典：吾輩は猫である（1905‐06）〈夏目漱石〉三)
2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五（四） 〙
   1. ① 内から外へ押し出す。下から上へ押し上げて出す。
      1. [初出の実例]「センコウヲ seridasz(セリダス)」(出典：和英語林集成（初版）（1867）)
   2. ② 劇場で、奈落から舞台・花道へ役者や大道具を押し出す。
      1. [初出の実例]「下より、笹龍胆の幕を張ったる屋台をせり出す」(出典：歌舞伎・男伊達初買曾我（1753）一)

出典　精選版 日本国語大辞典