日本大百科全書(ニッポニカ) 「逆機能」の意味・わかりやすい解説
逆機能
ぎゃくきのう
dysfunction
人々の欲求充足や目標達成を妨げる働きや、システムの存続発展にとってマイナスに働くような活動をいう。
このような意味での逆機能ということを考えるうえで重要なことは、人々は意図して、あるいは好んで逆機能を求めるのではなく、それを回避しようとするのが普通である。したがって、逆機能はある活動の意図しなかった、あるいは予期しなかった結果として生じるのである。たとえば、近代社会における法の支配は、法を執行する人々の私情や主観を抑えて、できる限り法の前の平等主義によって人々を公正に取り扱うという機能をもっているのであるが、しかし法による支配はしばしば法律万能主義や繁文縟礼(はんぶんじょくれい)あるいは画一主義をもたらし、結果として法の支配の本来の目的を妨げるという逆機能をもたらしうるのである。
[佐藤慶幸]