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機能主義 きのうしゅぎfunctionalism

翻訳|functionalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

機能主義
きのうしゅぎ
functionalism

19世紀に生れた科学方法論の1つ。認識論的には,物の本質とか物自体などは認識不可能で,現象属性だけが認識できるという不可知論的見地に立つ。一種の実証主義機械的唯物論に反発する。諸現象の関連から対象を記述するので,流動,進化などの過程を重視する点で弁証法的立場に近いが,対象の本質を矛盾においてとらえず,同一律による連続の原理でとらえる点が異なる。

機能主義
きのうしゅぎ
functionalism

19世紀に生れた方法論の1つ。文化人類学社会学においては,存在を構成要素間の作用関係と働きからとらえ,存在する物は機能的意味をもつと考え,現象の機能的分析を通して,現象を目標的な状態に対する有効性によって説明し,評価する立場となっている。

機能主義
きのうしゅぎ
functionalism

19世紀に生れた方法論の1つ。建築,工芸,デザインの分野では,用途,目的に適合する働きをいう。 19世紀のいわゆる折衷主義に反対し,20世紀初頭には機能を重視し,これを本質とするにいたった。

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知恵蔵の解説

機能主義

建築設計に当たって機能性を最優先させる立場の総称。その視野は建造物の構造ばかりでなくデザインにも及ぶ。19世紀末、最初期の摩天楼の設計者として知られるアメリカの建築家ルイス・サリバンアール・ヌーボーの装飾的な様式から脱したシンプルで無機質な建築を目指して「形態は機能に従う」と述べたのが起源とされるが、均質なユニバーサル・スペースを説いたミース・ファン・デル・ローエ、住宅を「住むための機械」と位置づけ、「近代建築の五原則」や「ドミノ・システム」を提唱したル・コルビュジエ、無装飾主義を標榜したアドルフ・ロースなど、主義主張を同じくする立場は同時代のヨーロッパの建築家のなかにも広く認められ、この考え方がモダニズム建築の核をなしていたことが分かる。1930年代初頭、「ボリューム」「規則性」「装飾忌避の原則」の3本の柱に定式化され、長らくモダニズム建築の規範として君臨したインターナショナル・スタイルは機能主義の1つの極点を示している。日本では、「社会を形成する建築は美しいことによってのみ流布し、機能として根付く」とする丹下健三の主張が大きな影響力を持っていた。

(暮沢剛巳 建築評論家 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

きのう‐しゅぎ【機能主義】

functionalism
諸要素の機能や相互の関係に着目し、それぞれが全体の維持にどうかかわっているかという観点から、文化・社会現象をとらえようとする立場。
建築・工業などで、余分な装飾を排し、用途に応じたむだのない形態・構造を追求する傾向。

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百科事典マイペディアの解説

機能主義【きのうしゅぎ】

functionalismの語訳。事物の本質や実体についての科学的説明は不可能であるとの立場から,現象とその相互関係を動的・作用的に記述しようとするもので,20世紀後半に有力化してきた科学方法論上の立場。
→関連項目サーリネン文化人類学

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世界大百科事典 第2版の解説

きのうしゅぎ【機能主義 functionalism】

19世紀末から20世紀前半にかけて,科学や芸術の諸領域で前後して提唱され,その後の展開に大きな影響を及ぼした方法論上の立場であるが,領域の違いに応じて提唱の動機もfunctionという概念の含意も異なり,むしろ〈関数主義〉と訳す方が適切な場合もある。たとえばこの時代の一般的な認識論的傾向をfunctionalismとよぶ場合がそうである。これは,実体概念を基軸としていた17,18世紀の考え方に対して,実体などというものは科学的に規定しえないものなのだから,科学はそうしたものを想定することなく,もっぱら現象の記述とその相互関係の法則的把握を目ざすべきだとする思想傾向であり,その限りでは同時代の反形而上学的な実証主義現象主義と立場を同じくするが,古い実証主義がとかく事実を固定的・機械論的にとらえがちであったのに対し,諸現象をもっと動的・関数的にとらえようとするものであった。

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大辞林 第三版の解説

きのうしゅぎ【機能主義】

社会現象を一つの全体的なシステムととらえ、それを構成する諸要素のはたらきを明らかにしようとする方法論的立場。機能分析。機能論。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

機能主義
きのうしゅぎ

機能主義は慣習、制度、価値などの社会的諸現象を、それらが社会のなかで果たす機能によって説明しようとする理論であり、1920年代、マリノフスキーラドクリフ・ブラウンの2人の人類学者によって創始された。
 彼らは両者とも長期間の野外調査ののちに、それまで主流を占めていた文化進化論や伝播(でんぱ)論に対し、全体としての文化を個々の文化要素に分割し、統一体としての文化から切り離して扱っていると批判し、一つの社会のなかの文化要素は一見、独立していて無関係にみえても実は相互に密接な関係をもち、有機的に結び付いているのだと主張した。したがって、個々の慣習や制度を理解するためには、それらが全体の文化のなかでどのように「機能」しているのかを究明しなくてはならないとした。
 マリノフスキーはメラネシアのトロブリアンド諸島の調査で、社会、宗教、経済など生活全般にわたる資料を収集し、一つの制度がいかに社会組織、経済、宗教などと密接に関連しているかを明らかにした。彼の理論は、生物としての人間から始まり、他の動物と同様の基本的な生物学的要求と、集団生活を存続させるための派生的・文化的要求があるとし、これらの要求に応じるためにさまざまな制度、経済、教育、政治組織が存在するのだとした。したがってマリノフスキーのいう「機能」とは、個人の生理学的要求の充足と、ある制度が文化全体のなかで果たす役割をも含む、広い概念である。
 一方、ラドクリフ・ブラウンはベンガル湾東部のアンダマン島での調査により、この地域の儀礼が人々の連帯意識を強化し、社会的結合を高め、社会の統一にいかに貢献しているかを示した。彼によれば、社会体系はその維持・継続のためには一定の「存在のための必要諸条件」を満たさなければならないという前提があり、生物の有機体と社会体系のアナロジーによってこの前提を主張した。生物組織の維持がそれぞれの細胞や組織の活動によって保たれるように、社会体系もまたそれを構成する諸要素の正しい活動によって保たれるとした。彼の「機能」とは「部分がそれを含む全体社会の活動に対してなす貢献」であり、たとえば、ある慣習の機能とはそれが社会構造の維持に対して果たす役割である。ラドクリフ・ブラウンと彼の後継者たちの機能主義はマリノフスキーの機能主義と区分して構造機能主義とよばれることがある。
 その後、機能主義理論に対してはいくつかの批判が加えられた。社会の統合・均衡が強調され、社会変化を正常な状態からの逸脱として扱っており、かならずしも現実に即さない静的なモデルを考えていて、社会や文化の変動を扱うのには不十分であるとか、とくに歴史的研究を軽視する傾向があるなどの批判である。また、これと関連して、社会における統合的な力を過度に強調し、葛藤(かっとう)や非機能的要素を取り扱うのに欠けている、との批判も加えられる。以上のマリノフスキーとラドクリフ・ブラウンによって創始された機能主義は、その後、エバンズ・プリチャードやフォーテスに受け継がれ、さまざまな批判を受けたが、その基本的な考え方は、現在ではむしろ文化人類学では常識として扱われるようになっている。[豊田由貴夫]
『ラドクリフ・ブラウン著、青柳まち子訳『未開社会における構造と機能』(1975、81・新泉社) ▽マリノフスキー著、寺田和夫・増田義郎訳「西太平洋の遠洋航海者」(『世界の名著59 マリノフスキー/レヴィ=ストロース』所収・1967・中央公論社)』

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世界大百科事典内の機能主義の言及

【デザイン】より

…もちろん,それぞれの活動の本質は近代のデザインのなかに保持されている。たとえば,機能主義はどんな原始的な道具のなかにも見られる。しかし,デザインという語は,産業社会が成立して大衆が,生産された物の消費者となり,また政治的な平等が少なくとも名目的には原則となった時代の,人間の環境形成にかかわる活動をさして使われるのである。…

【民族学】より

…それらは,それぞれ文化の十分な理解のために必要な基本的な視角を提示し,かつそれによって文化理論を豊かにしていった。19世紀後半にイギリス,アメリカで盛んになった進化主義的民族学は,人類文化に共通の進化という現象と人類の基本的心性の同一性に注意を向けさせ,進化主義への反動として20世紀前半にドイツ,オーストリアやアメリカで盛んになった歴史民族学は,個別文化が歴史的に形成されたことを強調し,個々の文化要素や文化複合の空間的分布のもつ意味を問うており,1920年代以後イギリスで盛んになった機能主義は,個々の制度が全体社会の維持に果たす機能,あるいは個人の欲求充足に果たす機能が問題にされた。第2次大戦後,フランスにおいて盛んになった構造主義においては,文化を構成する個々の要素をそれ自体としてではなく,相互間の関係からなる構造として把握すること,ことに意識されていない構造の重要性を論じた。…

※「機能主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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