四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「逆行性膵胆管造影検査」の解説
逆行性膵胆管造影検査
口からファイバースコープを入れ、膵管や胆管を調べる検査です。痛みはほとんどありませんが、検査後、約2時間は安静にし、膵炎予防の点滴を行います。
膵臓がんと慢性膵炎の区別に重要な検査
膵液や胆汁の流れに逆らって造影剤を注入するため、逆行性膵胆管造影検査といわれています。
この検査は、膵臓がんをはじめ慢性膵炎、膵
膵臓がんは膵管が部分的に狭くなったり、中断する像に
膵膵がんの多くは膵管から発生するため、がんがあると膵管が部分的に狭くなったり、途中で中断したりする像として写ります。慢性膵炎では、膵管の不整や拡張が膵臓全体に認められ、がんとの区別ができます。
胆管結石では、白い造影剤の中に黒く抜けた丸い影として写ります。
■膵臓がん
膵管に造影剤が入って白く写っているが、途中にがんがあるために途切れて尾側膵管が写っていない(矢印のあたり)。正常では膵管の長さは約20㎝。
検査の痛みはほとんどない
検査は、外来通院でもできます。検査着に着替えて鎮静剤を筋肉注射し、検査台に左を下にして横になります。
時間は20~30分、痛みはほとんどありません。検査終了後約2時間、ベッドで安静にし、膵炎予防のための点滴を行います。
検査後、強い腹痛がおこるならすぐに連絡を
検査前日の夕食は普通ですが、当日の朝は絶食です。糖尿病薬以外の常用薬は飲んで結構です。
高齢者の場合は、家族がつき添ったほうがよいでしょう。
ヨード剤にアレルギーのある人や妊娠中あるいはその可能性のある人は、この検査は行いません。医師にその旨を告げてください。
車を運転しての帰宅は禁止、また検査後数時間は食事も禁止です。普通、腹痛はおこりませんが、強く出るようなら、すぐに病院に連絡してください。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆膵臓がん→腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)、MR 、PET-CT、腹部血管造影など
◆慢性膵炎→MR(MRCP)、膵外分泌機能検査(C-Sテスト、PFDテスト)など
医師が使う一般用語
「イーアールシーピー」=endoscopic retrograde cholangio pancreato-grahy(逆行性膵胆管造影)の略ERCPから
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報