這う(読み)ハウ

デジタル大辞泉 「這う」の意味・読み・例文・類語

は・う〔はふ〕【×這う/延う】

[動ワ五(ハ四)]
手足地面・床などにつけて進む。腹這いになって進む。また、腹這いになる。「赤ん坊が―・う」「はたいて土俵に―・わせる」
虫や蛇などが、からだで地をするようにして進む。「ナメクジの―・った跡」
植物の根やつる草などが地や物にまつわりついて伸びる。また、そのように物の表面を伝って進む。「壁につたを―・わせる」「地を―・う煙」
さまよい歩く。漂泊する。
「いかにも覚さん儘に―・ふ方へ―・ひ給へ」〈盛衰記・四六〉
[可能]はえる
[動ハ下二]
長く引きのばす。張り渡す。
墨縄を―・へたる如く」〈・八九四〉
ことばや思いを相手にとどかせる。心を寄せる。言葉をかける。
水久君野みくくのは鴨のほのす見ろが上に言をろ―・へていまだ寝なふも」〈・三五二五〉
[類語]はいはい匍匐四つん這い腹這う這い回る這いずり回る這いつくばう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「這う」の意味・読み・例文・類語

は・うはふ【這・延】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 人がうつぶせに伏した状態になる。また、その状態で手足をつかって動きまわる。「赤ん坊が這う」
      1. [初出の実例]「年九十ばかりにて、雪をいただきたるやうなる女・翁、はいにはいきて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
      2. 「築地をこえ、大床の下をはうて、きり板より泰親が勘状こそ参らせたれ」(出典:平家物語(13C前)四)
    2. 獣・虫・貝など動物が地面などに体をすりつけるようにして進む。→はうむし(這虫)。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    3. 一面にのび広がる。また、特に、植物の根や蔦(つた)の類が地面や木などにまつわりついてのびる。はびこる。→はいもとおる
      1. [初出の実例]「谷狭み嶺に波比(ハヒ)たる玉葛絶えむの心わが思はなくに」(出典:万葉集(8C後)一四・三五〇七)
    4. 「行く」「出て行く」などの相手の動作をおとしめていう。さすらう。
      1. [初出の実例]「如何にも覚さん儘に、蚑(ハウ)方へ蚑(ハイ)給へ」(出典:源平盛衰記(14C前)四六)
    5. 人に知れぬように行く。特に、女の寝所にしのびこむ。夜這(よば)う。
      1. [初出の実例]「はった事下女が寝ごとでばれる也」(出典:雑俳・末摘花(1776‐1801)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙はえる(延)

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