改訂新版 世界大百科事典 「通経薬」の意味・わかりやすい解説
通経薬 (つうけいやく)
月経を促進させる目的で用いる薬物という定義がいちおうできる。しかし現在では医学の分野では用いられない概念である。古くは多くの民間薬がこの目的に用いられた。腹部に充血を起こすような下剤や,刺激性の植物精油剤で,たとえばロカイ(ユリ科植物アロエの葉のエキス)やサフラン(アヤメ科植物)などがあったが,これらはしばしば人工流産を起こす目的でも用いられた。現在では,月経困難症について,その原因がいくつか明らかにされており,その原因を取り除くような治療が施される。状況によっては,時期を選んで女性ホルモンを投与することで次期月経を促進することもある。この目的には卵胞ホルモン製剤,あるいは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合した製剤が用いられる。
執筆者:重信 弘毅
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