デジタル大辞泉
「月経困難症」の意味・読み・例文・類語
げっけいこんなん‐しょう〔‐シヤウ〕【月経困難症】
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げっけいこんなん‐しょう‥シャウ【月経困難症】
- 〘 名詞 〙 月経時に激しい痛みや全身障害を伴うようなもの。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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家庭医学館
「月経困難症」の解説
げっけいこんなんしょう【月経困難症 Dysmenorrhea】
[どんな病気か]
月経の開始にともなって、強い下腹部痛(月経痛(げっけいつう))や腰痛がおこり、日常生活に支障をきたしたり、鎮痛薬(ちんつうやく)を服用しなければならないほどの痛みの強い状態を、月経困難症といいます。下腹部痛や腰痛のほか、下腹部膨満感(ぼうまんかん)、吐(は)き気(け)、頭痛がおこることもあります。
一般的には、排卵(はいらん)のある月経周期におこり、妊娠・出産後には軽くなることもあります。
[原因]
月経困難症は、機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)と器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)に分類されます。
器質性月経困難症は、原因となる病気が存在する場合で、代表的な病気は、頻度の多いものから子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)(「子宮内膜症」)、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)(「子宮筋腫」)、卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)などがあげられます。
機能性月経困難症は、月経困難症の原因となる病気が認められない場合です。この場合、月経時にはプロスタグランジンという子宮を収縮させるホルモンが分泌(ぶんぴつ)され、これにより強い子宮収縮がおこることが、月経困難症の原因となります。
ただ、プロスタグランジンのほかに、心理的因子、子宮筋収縮因子などが複雑に影響しあって強い痛みがおこり、特定の因子のみに原因を求めることがむずかしい場合もあります。
[検査と診断]
原因を調べる検査として、まず、問診と内診、超音波検査(エコー)を行ないます。これらの検査は、一般的に外来受診時に行なわれているもので、これらの検査で不十分な場合や、診断をより正確に行なうために、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)を行なうこともあります。
また、子宮内膜症の診断には、CA125(腫瘍マーカー(「[腫瘍マーカー]」))の測定をすることもあります。
[治療]
機能性月経困難症に対しては、対症的治療として、鎮痛薬、漢方薬などの内服が一般的です。
鎮痛薬の種類には、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)、インドメタシン(インダシンなど)、イブプロフェン(イブ、ナロンエースなど)、メフェナム酸(ポンタール)、アセトアミノフェン(サリドンエース、ノーシンなど)、アスピリン(バファリン、エキセドリンなど)などが代表的です。
市販されている薬のなかには、1種類の鎮痛薬のみでなく、効率よく痛みを緩和するために、さまざまな薬の合剤となっているものも多く、鎮痛に対する工夫がみられます。
漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが代表的ですが、漢方薬は体質によって選ぶことがたいせつで、体質に合わないと、効果が現われないことがあります。
このほか、ホルモン剤を用いる場合や、抗不安薬を用いる場合もあります。
機能性月経困難症の場合、原因となる因子が多岐(たき)にわたることがあり、個人差も大きいため、有効な薬剤が個人個人で異なることがあります。
器質性月経困難症では、その原因の治療が基本になります。子宮内膜症や子宮筋腫では、ホルモン療法や手術療法が、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)では、手術療法や卵巣嚢腫穿刺吸引(せんしきゅういん)などが代表的治療法で、原因疾患の治療により、月経困難症の改善が期待できます。
ただし、手術を行なった場合には、術創(手術の傷)の痛み、手術にともなう癒着(ゆちゃく)の発生などにより、新たな痛みを生じる可能性もあるため、手術するかどうかは慎重に決定されなければなりません。
器質性月経困難症においても、機能性月経困難症と同様、対症的治療として、鎮痛薬、漢方薬投与などで十分治療効果をあげることができる場合も少なくありません。
[日常生活の注意]
耐えられないような痛み、1~2年の間に徐々にひどくなる痛みがあるときには、産婦人科で診察を受けるようにしましょう。子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫が発見されることもあります。
これらの病気は、程度が軽かったり、大きさが小さいうちは、薬物による治療が主体となる可能性が高いのですが、大きくなったりすると、原則的に手術となることが多くなります。また、これらの病気は、月経困難症がきっかけとなって発見されることも多く、放置すると不妊症の原因となることもあるため、月経痛が強いときには、検査を受けてみることが必要です。
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月経困難症 (げっけいこんなんしょう)
dysmenorrhea
月経に随伴するさまざまな不快な症状を含めた一種の症候群で,骨盤痛,下腹痛,腰痛,悪心,嘔吐,下痢,不快感,緊張などの症状が,月経開始と同時に,またはその直前に開始し,月経終了前に消失するのが特徴である。臨床的に原発性月経困難症と続発性月経困難症の二つに分類される。前者は本態性ないし機能性月経困難症ともいわれ,種々の検査でも骨盤内に器質的病変がなく,最近では,子宮内膜でのプロスタグランジン産生亢進が原因と考えられている。初潮時の無排卵性月経では起こらないが,排卵性月経の開始当時からみられる続発性月経困難症は,子宮内膜症,骨盤内炎症,子宮筋腫,IUD(子宮内避妊装置)の接着が原因で,初潮以来数年ないし十数年後に発症する。
頻度では,原発性のものが圧倒的に多く,成熟婦人の約半数は程度の差こそあれ,月経困難症を訴えるが,そのうち薬剤を必要とするものが10~15%,鎮痛・鎮痙剤を使用しても学校や仕事を休まざるをえないものは約0.5~1%といわれる。
原発性月経困難症の治療としては,鎮痛・鎮痙剤の服用,排卵抑制法のほかに,プロスタグランジン生合成抑制作用をもつ非ステロイド性抗炎症剤が有効である。
執筆者:加藤 順三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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月経困難症
げっけいこんなんしょう
月経と同時、またはその前後にみられる下腹痛や腰痛をはじめ不快な月経随伴症状で、これが病的にひどく、日常生活に支障をきたし治療を必要とするようなものをいう。月経時の痛みは心因的なものもあり、およそ半数の女性にかなりの痛みがあるといわれる。月経困難症は次のように分けられる。
(1)原発性月経困難症は、子宮筋の過度の収縮に伴うところからけいれん性月経困難症ともいわれる。痛みは第1日目にひどく、若い女性では吐き気や嘔吐(おうと)を伴うこともある。分娩(ぶんべん)や加齢とともに軽快するといわれる。
(2)続発性器質性月経困難症の痛みは、月経開始前からおこり、月経開始とともに軽快または悪化する。原因は骨盤子宮内膜症、子宮筋腫(きんしゅ)、子宮周囲の組織の炎症などで、30歳以上の女性に多い。
(3)膜様月経困難症は、子宮内膜が袋状に一塊となって排出されるのに伴う痛みをいう。
治療はそれぞれ原因別に薬物療法や手術療法が行われる。
[新井正夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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月経困難症
げっけいこんなんしょう
dysmenorrhea
月経に際して下腹部や腰部の異常に強い疼痛や全身障害を伴い,日常生活や仕事に耐えられない状態が反復して現れる症候群をいう。軽度,あるいは1年に1~2回起る程度のものは一般に生理的現象であるが,子宮内膜症,子宮筋腫,子宮や卵管などの慢性炎症や,心身症的な障害などが起因となっている場合がある。軽度のものは鎮痛剤を内服すればよいが,医師の診断を受けて子宮筋腫,子宮内膜症の有無を確かめる必要がある。未婚婦人の月経困難症は,結婚,妊娠,出産などでなおることが多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の月経困難症の言及
【月経異常】より
…
[月経随伴症状の異常]
月経時および月経前の随伴症状が異常に強く,日常生活に支障をきたし,就床して鎮痛剤,鎮痙剤などを必要とする病的な状態である。これは月経困難症dysmenorrheaといわれるが,これには二つのものが含まれる。一つは月経開始と同時に発症するもので,これを狭義の月経困難症といい,もう一つは月経前7~10日から出現し,月経開始とともに消失するもので,月経前症候群という。…
【月経】より
…まったくみられない場合や,かえって気分爽快な場合もある。これらの症状は生理的なものであるが,症状が異常に強く,臥床を必要とし,日常生活が妨げられる場合には,病的で,[月経困難症]と考えられるべきである。また月経前にみられる病的なものを[月経前症候群]という。…
【月経異常】より
…
[月経随伴症状の異常]
月経時および月経前の随伴症状が異常に強く,日常生活に支障をきたし,就床して鎮痛剤,鎮痙剤などを必要とする病的な状態である。これは月経困難症dysmenorrheaといわれるが,これには二つのものが含まれる。一つは月経開始と同時に発症するもので,これを狭義の月経困難症といい,もう一つは月経前7~10日から出現し,月経開始とともに消失するもので,月経前症候群という。…
【子宮筋腫】より
…おもな症状は,筋腫が子宮に発生することからも理解できるように,子宮内膜からの周期的出血による月経の異常である。とくに過多月経(月経の量が多い),[月経困難症](月経のときに下腹とか腰が痛い)が挙げられ,症状がひどくなると,月経の時期を問わず出血する不正子宮出血の形をとり,出血が多くて貧血の状態に陥ることもよくみられる。その他,筋腫が大きくなって,まわりの組織,膀胱あるいは骨盤の中の神経や直腸を圧迫するための症状が認められる。…
【通経薬】より
…腹部に充血を起こすような下剤や,刺激性の植物精油剤で,たとえばロカイ(ユリ科植物アロエの葉のエキス)やサフラン(アヤメ科植物)などがあったが,これらはしばしば人工流産を起こす目的でも用いられた。現在では,[月経困難症]について,その原因がいくつか明らかにされており,その原因を取り除くような治療が施される。状況によっては,時期を選んで女性ホルモンを投与することで次期月経を促進することもある。…
※「月経困難症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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