日本大百科全書(ニッポニカ) 「通貨先物取引」の意味・わかりやすい解説
通貨先物取引
つうかさきものとりひき
金融先物取引の一つで、ドルやユーロなど、上場されている外国通貨を将来の一定時期において、一定の価格で売買すること。通常、通貨先物取引といった場合、取引所に上場されている通貨の先物取引をさす。日本では1988年(昭和63)5月の「金融先物取引法」の成立を受けて、89年(平成1)4月に設立された東京金融先物取引所(取引開始は同年6月)が主たる市場であったが、代表的な商品であった米ドル・日本円通貨先物は2005年12月に上場廃止となった(2007年9月金融先物取引法が廃止され、証券取引法を改正した金融商品取引法が施行したのに伴い、東京金融先物取引所は東京金融取引所へ社名変更)。したがって現在は、アメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所Chicago Mercantile Exchange(CME)にある通貨先物取引市場の一部門である国際通貨市場International Monetary Market(IMM)が国際的な取引の場となっている。
決済日は3、6、9、12月の第3水曜日と決まっており、その決済日のレートを取引する。決済方法は、売った価格と買った価格の価格差で利益を受け取ったり、損失分を支払ったりする差金決済が一般的であるが、実際に通貨の受渡しをする場合もある。CMEでは、市場で決済されていない持高(未決済ポジション)を毎週公表しているが、週ごとの未決済ポジション量の偏りや変化は為替(かわせ)レートとの相関性が高いため、IMMは外国為替市場の縮図ともよばれている。
[北井 修]
『一橋大学大学院商学研究科編『新世紀の先物市場』(2002・東洋経済新報社)』▽『鹿野嘉昭著『日本の金融制度』第2版(2006・東洋経済新報社)』