取引所(読み)トリヒキジョ(英語表記)exchange

翻訳|exchange

デジタル大辞泉 「取引所」の意味・読み・例文・類語

とりひき‐じょ【取引所】

有価証券または商品の売買取引・先物取引などを行う常設の場所。証券取引所金融商品取引所)と商品取引所とがある。
[類語]市場河岸バザールマーケット朝市競り市年の市草市蚤の市バザーフリーマーケットガレージセール

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精選版 日本国語大辞典 「取引所」の意味・読み・例文・類語

とりひき‐じょ【取引所】

  1. 〘 名詞 〙 商品または有価証券が一定の資格をもつ会員または会員である証券会社によって取引される市場。公正な価格形成、証券・商品と資金との転換の促進、掛けつなぎ取引などを目的とする。株式、公社債などの有価証券を取り扱う証券取引所と綿花、人造絹糸、生糸、ゴムなどの商品を取り扱う商品取引所がある。取引場。

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改訂新版 世界大百科事典 「取引所」の意味・わかりやすい解説

取引所 (とりひきじょ)
exchange

商品あるいは債券,株式などの有価証券を大量にすばやく取引する目的で組織された常設市場。取引の場所,時間,対象の品目をあらかじめ決め,一定の資格をもつ売手と買手が定められたルールに基づいて自由に売買する仕組みになっている。人が交換の場を求めて寄り集まっていく過程で,物と物との交換の媒介物である貨幣が登場し,生産,流通の規模が膨らんでいくとともに,市場経済の潤滑油の役割を果たす取引所の初歩形態が誕生する。商品では13世紀,証券では14~15世紀のヨーロッパが発祥の地である。取引所は取引の円滑を求めるために民間で自然発生し,その過程で取引の場所,品目が広がるとともに,国家がその組織を追認する歴史を歩んできた。現在,取引品目は商品,証券のほか,アメリカなどでは通貨から,金利,株価指数にまで広がっている。

 取引所は当初,実際にある品目の売買,〈現物取引〉の場として出現したが,手もとにない品目についても先行きの一定の時期に受け渡す約束の〈先物取引〉が生まれた。組織形態としては非営利法人と株式会社に分かれる。日本では商品取引所は先物取引の場だが,証券取引所は現在,現物取引に限られているが,債券の先物取引導入が検討されている。いずれも非営利法人である。取引所では大量の取引がすばやく確実に進められる結果,需給に見合った公正な競争価格が形成される。公正な価格形成が取引所の機能の第1点である。次いで先物取引に関しては将来の価格までが形成される結果,生産,流通のめどが立てやすくなるほか,先行きの価格変動から身を守るためのヘッジ(保険つなぎ)の取引が可能になる。さらに一定の資格をもつ市場への直接参加者を通じて自由な競争価格形成の場に参加することにより,投資,投機の機会が一般に広がる。
株式市場 →証券市場 →商品市場
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取引所のコラム・用語解説

【取引所用語】

アク抜け
悪材料が出尽くして株価も底固く,下値に対し抵抗力をもつようになった場合のことをいう。好材料が出尽くすことを〈材料出尽し〉という。
味付け買い
相場が低調なとき,全体の相場またはある特定の株の相場を刺激するために買いを入れることをいう。〈追随買い〉を誘うことを狙うわけである。
あや
相場の大勢の動きと関係のない小さな動きのことをいう。〈あや戻し〉は下げ相場での小さな戻しのことをいい,〈あや押し〉は上げ相場での小さな押しのことをいう。
往(い)って来い
株価がある水準まで上げたあと一転して下げたり,あるいはある水準まで下げたあと一転して上げて,結局元の水準に戻ること。一般に1日の動きについていうが,ときに一定の期間でこうした動きになったときにも使われる。
売上がり・買下がり
〈売上がり〉は株価が上がるにつれてさらに売っていくことをいい,〈買下がり〉は株価が下がるにつれてさらに買っていくことをいう。信用取引の場合でいえば,空売りしたあと株価が値上がりしたため,さらに売って売値の平均値を上げることが売上がりで,〈ナンピン売上がり〉ともいう。反対に信用取引で買ったあと株価が値下がりしたため,さらに買って買値の平均値を下げることが買下がりで,〈ナンピン買下がり〉ともいう。〈ナンピン(難平)〉の〈難〉は損を意味し,損を平均化することがナンピンである。
売疲れ・買疲れ
売るだけ売って,相場も思うようにいかず売る力もなくなった状態を〈売疲れ〉といい,反対に買うだけ買って,相場が上がらず買う力もなくなった状態を〈買疲れ〉という。
売りつなぎ・買いつなぎ
値下がりによる損失を防ぐため,その株式を信用取引で空売りすることを〈売りつなぎ〉(あるいは〈つなぎ売り〉)といい,一般に手持株が名義書換えその他で手もとになく,先行きその株が値下がりしそうなときに,値下がり損を防ぐために信用取引で空売りし,値下がりしたところを買い戻して差益を取るか,または株券が手もとに戻ったときに〈現渡し〉して決済することである。一方,〈買いつなぎ〉(あるいは〈つなぎ買い〉)は,手もとに資金がなく,先行き株価が値上がりしそうなときに,あらかじめ信用取引でその株を買い,資金ができたところで〈現引き〉して決済することをいう。こうした行為は単に〈つなぎ〉〈ヘッジ〉,あるいはちょうど保険をかけるのに似ていることから〈保険つなぎ〉ともいう。
売逃げ
買った株が値上がりしたときに,人に知られないようにひそかに売ってしまうこと。買った株を値上がり後さっさと売ってしまうこともいう。
上放れ
寄付きの値段が前日の終値よりとび抜けて高くなったとき〈上放れ〉といい,反対に大幅に安く始まったとき〈下放れ〉という。これは相場が保(も)ち合って,それを上か下かへ放れるときに起こる場合が多い。
押目
上昇している相場が一時的に下がっても上昇基調に変化のないような下げをいう。こういう下げ(押し)を待つことを〈押目待ち〉といい,下げを待って買うことを〈押目買い〉という。〈押目待ちに押目なし〉という相場格言もある。
買いぶらさがり
値上がりするものと思って買った株が逆に下がって,思うように利食いできない状態になること。
空売り
手もとに株券がないか,あるいはもっていてもそれを使用せず,信用取引制度を利用して証券会社や証券金融会社から借りて株を売ることをいう。売った株が値下がりすれば,その株を買い戻して株券を借りた証券会社や証券金融会社に返して値鞘(ねざや)をかせぐ。この場合に純然たる空売りと現渡しによる方法とがあり,後者を〈つなぎ売り〉ということは,〈売りつなぎ・買いつなぎ〉の項で述べたとおりである。
仮需(かりじゆ)
株式市場では,信用取引で株を買うことを〈仮需〉という。一方,買った株の代金を渡して株券を受け取ることを〈実需〉または〈実需買い〉という。ある銘柄の相場が上昇し,信用取引の融資残高が減少した場合,これを〈仮需が実需に振り替わった〉という。
逆張り
相場が上がっているときに売り,相場が下がっているときに買うことで,相場の流れ,人気に逆らって売買することをいう。一方,反対に相場の流れに従って売買することを〈順張り〉という。
玉(ぎよく)整理
信用取引による売買が増大して相場の動きが鈍くなると,買方が手じまってくるため買残高が減少する。これを〈玉整理〉または単に〈整理〉という。この整理は,ある程度時間をかけて進む場合と,株価の値下がりで進む場合とがあるが,前者を〈日柄整理〉,後者を〈値幅整理〉という。
気配(けはい)
〈きはい〉とも読む。取引所内での実際に成立した値段ではなく,売方,買方の唱える値段で,たとえば買方がある銘柄を701円買いを,売方が702円売りを唱えた場合,〈1カイ2ヤリの気配〉という。
現引き・現渡し
信用取引で買った株を引き取るため,その借りた買付代金を証券会社に返済して決済することを〈現引き〉といい,信用取引で空売りした場合,その売った株を調達して証券会社に渡し,売却代金を受け取って決済することを〈現渡し〉という。
こつん(とくる)
相場が下げているとき,まだ下がるとみて売ったが,なかなか下がらなくなった場合,相場が底にコツンと当たったような感じがするということで,このように表現する。
指値(さしね)(注文)
売買の注文を出すときに,売買値段を決めて注文することをいい(そうした売注文・買注文をそれぞれ〈指値売り〉〈指値買い〉という),その値段を決めずに注文することを〈成行き(注文)〉という(同じ〈成行売り〉〈成行買い〉という)。また指値を基準にして多少幅をもたせて注文することを〈はからい(注文)〉という。
鞘(さや)
〈値鞘〉ともいい,相場の変動による売値と買値との開きとか,同じ銘柄の同一時刻に違った取引所でつける値段の開きとか,銘柄間の値段の開き,さらに旧株と新株の値段の開きのこと。この開きを利用して売買して鞘を取ることを〈鞘取り〉という。〈鞘をぬく〉というのも同義である。〈利鞘〉は鞘取りをやって得た利幅のことをいう。
地合い(じあい)
相場の状態を表すもので,相場が強く,内容的にもよい銘柄が展開している場合は〈地合いがよい〉という。逆に,相場が弱く,内容的にもよくない場合は〈地合いが悪い〉という。〈場味(ばあじ)〉ともいう。
塩漬け
買った株が値下がりし,やむなく将来値上がりすることを期待して,じっと持ちつづけることをいう。また,目先的な値上がりより中・長期的観点から値上がりを期待して,安値圏にある株に投資することを〈塩漬投資〉ともいう。
しこり
大商いで信用取引の買残高が増大したあと,相場の反落で動きがとれなくなっている状態をいう。そういう状態の株を〈しこり玉〉という。
確り(しつかり)
相場が上昇している状態をいう。その度合の少ない場合を〈小確り〉という。
地場(じば)
各証券取引所周辺で営業する小さな証券会社(地場証券)や,それらの証券会社に出入りしている常連を総称していう。市場の流れに精通し,情報も速く,迅速に行動することから〈地場筋〉の動きとして注目される。
締まる
相場が高くなること(少しだけ高くなることは〈小締まる〉という)。反対は〈緩む〉。
新甫(しんぽ)
商品市場の用語で,月替りの発会の日に始まる限月(げんげつ)(先物取引の受渡し期限の月),またはその相場のことをいう。株式市場で使われるのは〈2日新甫は荒れる〉というジンクスである。これは,ある月の取引の最初が2日から始まる場合,その月はとかく相場が乱高下することが多い,という相場格言である。
底入れ
相場が下げ止まった状態をいう。
底値鍛錬
相場が底値圏にあって保合い状態が続き,売りものを消化して次の上げ相場の準備期間となっている状態をいう。
底割れ・底練り
底堅い動きをしていた相場がさらに下がることを〈底割れ〉といい,下げ止まった株が底値圏で底固めするように動いている状態を〈底練り〉という。
相場値段の数字の桁のことをいう。たとえば500円台,1000円台というように。〈大台〉は相場値段のうち頭の数字をいう場合と,10円刻みに対し100円刻みをいう場合とがある。また相場の頭の数字が替わることを〈台替り〉という。たとえば599円が600円に替わるような場合である。
高値覚え・安値覚え
相場が下落して安値をつけているにもかかわらず高値が忘れられず,再び戻ることを期待している心理的状態を〈高値覚え〉という。反対に,大幅に下落して安値をつけた相場が反発したのに安値が忘れられず,もう一度その近辺まで下落することを期待している心理的状態を〈安値覚え〉という。
建玉(たてぎよく)
信用取引で新規に買った株,売った株で,未決済になっている株をいう。
ちゃぶつく
株を買ったら下がり,売ったら上がるというように,思うようにいかず損する状態をいう。
提灯をつける
自分の考えでなく,有力な仕手筋の売り買いする株に便乗して売買することをいう。
強気・弱気
相場の見通しに対し上昇するとみるのを〈強気〉,反対に下落するとみるのを〈弱気〉という。
強含み・弱含み
相場が小高く,先行きも多少上がりそうな感じがするような状態を〈強含み〉といい,その反対に,相場の地合いが弱く,先行きも上がりそうな感じがなく,むしろ下がりそうな感じがするような状態を〈弱含み〉という。
連れ高・連れ安
他の株(富士通に対して日本電気,安田火災に対して大正海上など)の動きに左右されて高くなったり安くなったりすることをいう。〈追随高〉〈追随安〉ともいう。
手口
証券会社各社の売り買いの内容を示すもので,どの証券会社がどの株をどれだけ売り買いしたかをいう。
手じまう
信用取引で建玉を転売または買い戻して決済し,売買関係から離れることをいう。
手振り
取引所内において,会員証券会社の代理人が売買を執行するために手を振ってサインを送ることをいう。また,その手を振る人を指すこともある。
天候相場
本来,米または穀物など商品相場に由来したもので,四季の天候あるいは天候そのもののよしあしが,米または穀物の作付けあるいは収穫に影響して,相場に変動をもたらすからである。株式市場でも,食品(ビールなど),衣料品,電機(クーラーなど)業界などのなかに天候に左右される製品を取り扱う企業が上場されている。このため天候のよしあしによって企業業績が変動するため株式市場の人気度に変化が生じ,天候に基づく相場が起こることがある。この場合,あらかじめ先行きの天候を予想し,企業業績への好悪の影響を見込んで起こる相場と,企業業績の結果が天候による影響によるとあらためて認識されての相場とあるが,一般に天候相場というときは,前者の場合のことをいう。なお,こうした企業の株式の代表は,ビール・メーカーやクーラーのメーカーなど夏にかけ値上がりするものが多く,サマー・ストックと呼ばれる。
どてん(とでん)
信用取引で,それまで買建てしていた人が手じまったあと反対に売建てし,売建てしていた人が決済したあと反対に買建てするように,それまでの売買とは反対の商いをすることをいう。買いから売りにまわることを〈どてん売り(越し)〉,その逆を〈どてん買い(越し)〉という。
投げ
買っていた株が値下がりして損して売ること。
場立(ばたち)
正会員の証券会社から取引所の立会場に派遣されている取引員のことをいう。売買はこの取引員を通して行われる。
半値押し・半値戻し
上げ相場で上げ幅の半分程度下押しすることを〈半値押し〉という。ほかに,上げ幅の1/3程度の下げを〈3分の1押し〉,2/3程度の下げを〈3分の2押し〉という。反対に下げ相場で下げ幅の半分程度戻すことを〈半値戻し〉という。同様に,〈3分の1戻し〉〈3分の2戻し〉という表現もある。
彼岸底・彼岸天井
昔の米相場時代に使われた用語で,春分,秋分のころにその年の米のできぐあいの予想とか,またその結果によって米の相場が底になったり天井になったりすることが多かったことから生まれたものである。株式相場でも,年末から2月上旬(節分ころ)にかけて上昇した相場が春分のころにかけて安くなったり,反対に年末・年始にかけて安かった相場が春分のころにかけて高くなることが多いことから,〈節分天井・彼岸底〉は現在でもよく使われる用語である。
引け
立会いが終わることをいう。前場の終りを〈前引け(ぜんびけ)〉といい,後場の終りを〈大引け(おおびけ)〉という。半日立会いの土曜日は前・後場の別がなく,引け=大引けである。
笛吹き
取引所の立会場で売り買いが殺到して商いがさばききれなくなったとき,取引所はその銘柄の商いを一時的に停止することができる。このとき取引所の係員が笛を吹いて合図することから,この行為をいい,当該銘柄を〈笛吹銘柄〉という。
吹(噴)値(ふきね)売り
相場が水が噴き出たように急騰したときには,ひとまず売っておくのが得策ということから売ることをいう。
踏み(上げ)
信用取引で売っていた株を,相場が上昇したために損を承知で買い戻すことをいう。この買戻しによる〈踏み〉で相場が一段と上昇することを〈踏上げ〉といい,この相場を〈踏上げ相場〉という。反対に,買っていた株を,相場が下落したため損して売ることを〈投げ〉という。
ぼける
上昇していた相場が小安くなり,商いも減少し,相場の流れの焦点がつかみにくい状態をいう。休明けである月曜日はとかくこうした状態になる場合が多いことから〈月曜ぼけ〉という言葉もあるが,これは月曜日はニューヨーク株式はじめ海外市場の値動きが入らないことや,外人投資家の注文が減ることから手がかり難となり,相場に影響することが一因と考えられる。また,相場がぼけた状態のように相場に力がなく,少し安い相場の地合いを〈ぼんやり〉ともいう。
まばら
小口の売り買いのことをいう。〈まばらの売物に値を消す(値下がりする)〉などと使う。
目先(めさき)・中勢(ちゆうせい)・大勢(たいせい)
短期間の先行きの相場のことを〈目先〉という。ふつう1ヵ月くらいを指すが,1週間くらいをいう場合もある。〈中勢〉は3~6ヵ月程度,〈大勢〉は1年以上の相場の動きのことをいう。
保合い(もちあい)
相場が上にも下にも動かないか,あるいは小幅な動きにとどまっている(保ち合う)状態をいう。少し強い気味の保合いを〈強保合い〉,弱い気味の保合いを〈弱保合い〉という。
餅つき相場
年末になると新年相場に対する強弱の見通しに基づく期待買いと年内の換金のための売りとが交錯して相場が上下に激しく動くことがあり,また正月用の餅代稼ぎという名目で短期売買が激しくなることを称していう。
戻り
下げていた相場が逆に値上がりすることをいう。〈戻り相場〉ともいう。
模様眺め
相場の動きがはっきりしないために売り買いを見送ることをいう。
やり
〈売り〉のことをいう。〈かい〉すなわち〈買い〉の反対である。気配が201円買い202円売りのことを〈1カイ2ヤリ〉と表現する。また,値がつかない状態を,売りの場合〈やり気配〉,買いの場合〈かい気配〉という。
やれやれ
買った株が当初の思惑どおりいかず値下がりしてしまい,長い間もったあとその株が上昇し,買値またはそれより多少上の水準で売ること。〈やれやれ売り〉ともいう。
寄付き
取引所での立会いの最初のこと,または初めについた値段のことをいう。前場,後場両方に寄付きはあるが,単に〈寄付き〉という場合は前場の寄付きのことをいい,後場の場合はこれと区別して〈後場寄り〉ということがある。
利食い
買った株が値上がりして利益勘定になっているときに,売って実際に利益を出すことをいう。また信用取引で空売りしていた株が値下がりしたため買い戻して利益を出すことも同じである。
理想買い・現実買い
〈理想買い〉は,現実の景気,企業業績などは悪いが,先行きの景気,企業業績とも回復するものと期待して株を買うことをいう。一方,〈現実買い〉は,現実の景気,企業業績のよさに基づいて株を買うことをいう。
割高・割安
株価の水準が他の株の株価水準あるいは当該株の収益力,成長力などの実態価値と比較して,高いことを〈割高〉,反対に安いことを〈割安〉という。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「取引所」の意味・わかりやすい解説

取引所
とりひきじょ
exchange

品目、時間、場所をあらかじめ定め、一定の資格をもつ売り手と買い手が一定のルールのもとで売買を行う市場組織ないしその施設。もともとは実物取引の場として出現したが、現在では投機取引が原則である。投機取引とは、将来の相場(価格)の騰落を予想して売買する相場取引もしくは先物取引(さきものとりひき)として売買を行うことをいう。取引所の経済社会的機能は、公正な価格の形成、不正や悪質な取引の排除、商品や証券と資金との交換の促進、成長分野への資金供給、価格変動によるリスクヘッジ(危険回避)にある。リスクヘッジとは、価格変動から生じる損失を、反対売買(買ったものは売り、売ったものは買い戻す)によって埋め合わせることであり、つなぎ売買、保険つなぎともいわれ、先物取引で実施される。

 取引所の取引は、競争売買が原則である。それは、多数の売り手と買い手が所定の時刻(立会時間)に所定の場所(立会場)に集合し、価格の上下による競争(せり)を行いながら売値と買値が合致したものを取引成立(約定)とするのである。このほかに一部では、ザラ場式とよぶ個別競争売買ないし相対売買も行われる。これは売り手と買い手が一対一で交渉し、まとまれば取引成立とするものである。近代化した取引所では、コンピュータによってこれらの売買を処理する。

 取引所には、金融資産(株式のような現物と株価指数のような指数)の取引を扱う金融商品取引所、貴金属(金・白金・パラジウムなど)・工業品(ゴム、原油、電力など)・農産物(トウモロコシ、大豆、小豆(あずき)など)の商品取引を扱う商品取引所、金融と特定の商品の両方を一括して扱う総合取引所がある。世界では、投資家が一つの口座を通じて金融資産や商品に機動的に投資できる総合取引所が主流となっている。日本の金融商品取引所には、証券取引所と金融先物取引所がある。証券取引所は東京、名古屋、札幌、福岡の4か所にあり、金融先物取引所は東京金融取引所のみである。商品取引所は東京商品取引所、大阪堂島(どうじま)商品取引所の2か所である。総合取引所は大阪取引所のみである。取引所の組織には、会員組織のものと株式会社組織のものがある。日本では従来すべて会員制組織であったが、金融商品取引法(2007年改正)によって株式会社組織が認められ、東京、名古屋の両証券取引所、東京金融取引所、東京商品取引所、大阪取引所は株式会社である。

[森本三男・編集部 2020年12月11日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「取引所」の意味・わかりやすい解説

取引所
とりひきしょ
exchange

一定の資格をもつ商人(会員)に一定の商品または有価証券の売買取引を行なわせる市場の開設を目的とする法人。取引物件により商品取引所と金融商品取引所に分かれ,それぞれ商品取引所法と金融商品取引法に基づいて設立される。需要と供給の突き合わせを容易にし,大量の需要と供給を敏速に処理し,公正な相場を形成することにより,取引価格の標準を示すという社会的機能をもつ。取引所で売買をすることができる者は,その取引所の会員にかぎられる。2006年に投資家保護のための包括的・横断的な法制整備の一環として,それまでの証券取引法と金融先物取引法が統合・廃止されて金融商品取引法に移行し,証券取引所の名称は金融商品取引所に変更された。1990年代後半,取引所の株式会社化が世界的に進展し,日本でも東京証券取引所が 2001年11月に株式会社に移行した。

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世界大百科事典(旧版)内の取引所の言及

【市】より

K.ポランニーによれば,人間社会の歴史全体からみると,生産と分配の過程には,三つの類型の社会制度が存在しており,古代あるいは未開の社会から現代諸社会まで,それらが単一にあるいは複合しながら経済過程の機構をつくってきた。それらは,(1)互酬reciprocity 諸社会集団が特定のパターンに従って相互に贈与しあう,(2)再分配redistribution 族長・王など,その社会の権力の中心にものが集まり,それから再び成員にもたらされる,(3)交換exchange ものとものとの等価性が当事者間で了解されるに十分なだけの安定した価値体系が成立しているもとで,個人間・集団間に交わされる財・サービス等の往復運動,の3類型であり,それぞれの類型は社会構造と密接に連関をもって存在している。市は,この(3)の〈交換〉が成立する社会がつくり出した方式である。…

※「取引所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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