徳田秋声(とくだしゅうせい)の長編小説。1941年(昭和16)6月28日~9月15日『都(みやこ)新聞』に連載。80回で中絶。46年(昭和21)小山書店刊。主人公三村均平は妻の死後、子供とも別居し、愛人銀子が住む東京・白山(はくさん)の芸者屋で生活するようになる。そのへんから話題が銀子の過去にさかのぼってゆく。江東(こうとう)の靴屋に育ち、千葉から芸者に出て、石巻(いしのまき)、東京芳町(よしちょう)へと住み替える話が主軸となる。内容が芸者の身の上話なので、太平洋戦争直前の時局にふさわしくないという当局からの干渉に妥協せず、中絶した。秋声が1931年夏に知った白山芸者富弥(小林政子)の半生を、自然主義作家として、50年の創作経験を積んだ最後の到達点として描いた晩年の傑作。
[和田謹吾]
『『秋声全集17』(1974・臨川書店)』▽『紅野敏郎編著『論考徳田秋声』(1982・桜楓社)』
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…大正期に入ってからは《爛(ただれ)》(1913),《あらくれ》(1915)などの力作を相ついで発表,いずれも《足迹》と同じく庶民的な女性の半生を浮彫りにした作品で,自然主義時代の活動を結実させた観がある。その後,心境小説を書く一方で,家計を支えるために通俗小説を乱作した時期があり,26年,糟糠の妻はまの急死をきっかけに,作家志望の山田順子との老年の恋を体験するなど,作家生活の沈滞と危機に見舞われたが,小石川白山の芸妓小林政子(《縮図》のモデル)を知った30年代前半ごろから,晩年の円熟期に入った。〈順子もの〉といわれる作品群を集大成した《仮装人物》(1935‐38)であり,情報局の弾圧により中絶を余儀なくされたが,戦時下の切迫した状況に庶民的反骨をつきつけた《縮図》(1941)である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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