家庭医学館 「進行流産」の解説
しんこうりゅうざんふぜんりゅうざんかんぜんりゅうざん【進行流産(不全流産/完全流産) Inevitable Abortion】
切迫流産(せっぱくりゅうざん)(「切迫流産」)として経過を観察し、治療していたにもかかわらず、症状が重くなり流産が避けられない事態となるのが、進行流産です。
流産のおこり方によっては、切迫流産の状態を経ずに出血と下腹痛がおこり、いきなり進行流産と診断されることもあります。これは、症状と診断時期による相違であり、本質的には、妊娠の維持が不可能になった状態と考えられます。
[検査と診断]
超音波検査をしてみると、胎児(たいじ)の発育や生存が確認できないばかりでなく、胎嚢(たいのう)(胎児の入っている袋)の形が崩れたり、消失していたりします。
妊娠に関係する成分の一部が排泄(はいせつ)されはじめ、出血量も多くなります。
妊娠初期で、子宮内容物が完全に排泄されると完全流産、子宮内容物の排泄が不十分で、子宮内に一部残っている場合を不全流産といいます。
なお妊娠判定に使われる尿中ホルモンは流産後も少しの間、陽性化しており、時間の経過とともに陰性化します。
[治療]
妊娠初期は、胎児の母体外での生存が不可能な時期なので、早急に子宮内容の除去、清掃術を行ないます。
完全流産で出血もほとんどない場合は、処置をしないこともありますが、多くの場合は不全流産のかたちをとるため、放置すると出血が止まらず、感染をおこす危険もあるため、処置が必要です。