日本大百科全書(ニッポニカ) 「郵送検査」の意味・わかりやすい解説
郵送検査
ゆうそうけんさ
検体を自分で採取し、所定の窓口に郵送すると、結果が本人に知らされる、病気や感染症などの検査システム。検査結果は郵便、電話、ホームページ、電子メールなどで、依頼人が直接確認する。検査対象は、HIV(エイズウイルス)やB型・C型肝炎、クラミジア、他の性病などの感染症、糖尿病などの生活習慣病、癌(がん)、アレルギー、薬物、寄生虫など幅広い。検査方法はさまざまで、HIVの場合、保健所や医療機関が集団検診や迅速検査で採用しているスクリーニング検査が行われている。これは感染の疑いを陽性と陰性に振り分けるもので、郵送検査で陽性反応が出た場合は、医療機関で確認検査を受ける必要がある。
検査対象に適合した郵送検査キットを検査会社から購入すると、キットには採血用具や密閉容器などのセットが入っている。血液、尿、便、痰(たん)などの検体を採取して密閉し、検体集配用封筒に入れ、投函(とうかん)する。検体は専門機関で検査され、1週間ほどで検査結果をインターネットなどで確認できる。HIVや一部の性病の郵送検査は、各地域の保健所で無料、匿名で受け付けている場合がある。
厚生労働省の調査によると、2011年(平成23)のHIVの郵送検査の利用件数は過去最高の約6万5000件で、データをとり始めた2001年の約18倍になった。自宅でできる手軽さや、検査結果を本人だけが確認でき、プライバシーが守られる点が普及に寄与している。
ただし、病気の早期発見につながるメリットは大きいが、検査で陽性反応などが出た場合、心理的に過度のショックを受けて、精密検査や診療を避けてしまうことがあるため、検査後のフォローのあり方を検討する必要がある。
[編集部]