プライバシー(英語表記)privacy

翻訳|privacy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プライバシー」の意味・わかりやすい解説

プライバシー
privacy

必ずしも内容的に確定した概念ではなく,広義においては人間の人格的自律を内実とするいわば一般的自由の意味で使用されるが,狭義においてはデータ・バンク社会の提起する問題とも関連づけて,自己に関する情報の流れをコントロールする権利として把握される。この権利は,元来 1890年のアメリカの S.ウォーレンと L.ブランダイス連名の論文をおもな契機にアメリカの不法行為の領域で発達してきたものであるが,1960年代後半になって合衆国最高裁判所により憲法上の一つの独自の権利として認められた。この権利は盗聴やのぞきみ,私的事項の公表,氏名や肖像等の営利的利用などさまざまな文脈で問題となる。日本では宴のあと事件において,64年に東京地方裁判所が,プライバシーの権利を初めて実定法上の権利ととらえ,「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」と定義した。最高裁判所は,プライバシーという言葉は使用していないとはいえ,憲法 13条によって「私生活上の自由」が保障されているとし,そのような自由の一環として,なんぴとも承諾なしにみだりにその容貌姿態を撮影されない自由を有すると判示している。 (→肖像権 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報