酒造り唄(読み)サケヅクリウタ

デジタル大辞泉 「酒造り唄」の意味・読み・例文・類語

さけづくり‐うた【酒造り唄】

民謡で、造り酒屋で働く人たちがうたう仕事歌。桶洗い・米とぎ・こうじつくり・もろみの仕込みなどのそれぞれ工程でうたわれる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒造り唄」の意味・わかりやすい解説

酒造り唄
さけづくりうた

日本民謡分類上、仕事唄のなかの一種目で、日本酒の醸造工程で歌われる唄の総称。工程順に唄が異なる。まず、仕込み桶(おけ)などを熱湯消毒しながら洗うおりに歌う「桶洗い唄」(「流し唄」ともいう)。米を精白するおりに歌う「米つき唄」。米を水洗いするおりに歌う「米とぎ唄」。釣瓶(つるべ)で井戸から水を汲(く)み出すおりに歌う「水釣り唄」。蒸した米を発酵させるための微生物酒母(しゅぼ)を繁殖させる酛(もと)を仕込むおりに歌う「酛摺(もとす)り唄」がある。それが終わると、いよいよ酛に蒸し米と水を加えて糖化発酵させることで醪(もろみ)造りの仕込みが始まり、これは初添(はつぞえ)、仲添(なかぞえ)、留添(とめぞえ)の3段階で順次分量を増やしていくが、このときの「仕込み唄」は、土地により、酒蔵によって種々の名称があり、「風呂(ふろ)上り唄」「三本櫂(かい)唄」「添え突き唄」「仕舞いの唄」などという。そして一般に「酒屋唄」とよぶときは「酛摺り唄」をさす場合が多い。これら酒造り唄は、酒蔵へ出入りする杜氏(とうじ)の故郷の農作業唄か、酒蔵周辺の農作業唄が転用されたものが大部分を占めている。なお杜氏を大別すると、「南部杜氏」「越後(えちご)杜氏」「丹波(たんば)杜氏」の三つ系統があり、唄のほうもその3系統のなかではそれぞれほぼ共通である。

竹内 勉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android