里田原遺跡(読み)さとたばるいせき

日本歴史地名大系 「里田原遺跡」の解説

里田原遺跡
さとたばるいせき

[現在地名]田平町里免 太田

一関いつせき川とさと川の間の低湿地帯にある縄文時代・弥生時代の遺跡。県指定史跡。昭和四七年(一九七二)から平成四年(一九九二)まで二七次にわたって発掘調査が行われた。遺物は縄文晩期と弥生前期・中期のものが大部分で、土器では刻目突帯文土器・組織痕土器の縄文晩期終末期のものと、弥生土器に伴って朝鮮半島の無文土器が出ている。遺物のうち弥生時代の石製および木製の農工具類が注目され、稲作にかかわる石包丁・広鍬・三又鋤・竪杵、工具としての抉入片刃石斧・扁平片刃石斧類がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「里田原遺跡」の意味・わかりやすい解説

里田原遺跡 (さとたばるいせき)

長崎県平戸市田平町里免にあり,標高16mの水田中に位置した縄文時代晩期末から弥生時代中期初頭にかけての広大な低湿地遺跡で,中心は弥生時代中期初頭にある。現地表の水田中には,支石墓が点在している。1972年以来継続して行われた数次の発掘調査によって,水門や,両岸に丸太杭や板杭を打ち込んだ護岸施設のあるクリーク状遺構,30基以上の木の実保存用の竪穴遺構,それに掘立柱建物など多様な遺構がみつかっている。出土品では,特に弥生時代中期の木製品にみるべきものが多く,その製作工程の各段階を知る未成品もあって,製作技法を研究する重要な資料となっている。農具として鍬,鋤,杵など,工具としては各種の磨製石斧をはめ込むための柄がある。また日常木器にも優れたものがあり,鉢,皿,高杯,槽(ふね),しゃくし,ひしゃく,さじ,案,編籠などがある。これらの遺物は田平町の里田原歴史民俗資料館に展示公開されている。
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世界大百科事典(旧版)内の里田原遺跡の言及

【貯蔵穴】より

…食料などを蓄えるため地中に掘りくぼめた〈あなぐら〉。屋内に作りつけたものと屋外に設けたものとがあり,後者には,蓋あるいは屋根を備えた跡をとどめるものがある。平面円形で口広く底の狭いのが一般だが,屋外の貯蔵穴には,逆に底の方を広く作ったものもある。概して屋内の貯蔵穴は小さくて浅く(径・深さとも数十cm),屋外の貯蔵穴は大きく深い(1~3m)。現在知られている最古の貯蔵穴は,後期旧石器時代(約2万年前)に属し,屋内の貯蔵穴,屋外の貯蔵穴ともに建築材・骨器の素材としてマンモスの骨が蓄えてある(ロシアのコスチョンキ遺跡群,ドブラニチェフカ)。…

※「里田原遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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