略称HWR.中性子減速に重水を用いる原子炉の総称.冷却材に,軽水,重水,気体(二酸化炭素)を用いるタイプがある.重水の熱中性子捕獲断面積は小さいので,天然ウランのままで原子炉を稼働できる.通常,重水は常圧,100 ℃ 以下の温度に保たれている.原子炉冷却材は高温・高圧で,熱交換器を通して水蒸気発生に利用する.発電炉として実用化されている重水炉の大部分は,天然ウラン燃料使用加圧重水炉型(PHWR)CANDU炉(Canadian Deuterium Uranium Reactor)で,加圧重水冷却型.カナダに25基,韓国に4基,インドに2基,中国に2003年に運転開始の1基など,合計34基が稼働し,ほかに建設中,計画中のものがある.インドの発電炉の主力はCANDU型で,自国開発・建設の発電炉がほかに6基ある.ガス冷却重水炉(GCHWR,Gas-Cooled Heavy Water Reactor)は重水減速-炭酸ガス冷却型で,ガス温度を高くして熱効率の向上をはかったものであるが,高温で使用できる燃料被覆管開発に成功せず,世界で4基しかつくられず,すべて運転停止している.蒸気発生重水炉(SGHWR,Steam Generating Heavy Water Reactor)は沸騰軽水冷却重水炉(LWCHWR,Light Water-Cooled Heavy Water Reactor)ともいう.イギリスが原型炉(100 MW)を建設し,1968~1990年の間運転した.動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が建設した新型転換炉原型炉(ATR,Advanced Thermal Reactor)「ふげん」(165 MW)もこの型である.[別用語参照]新型転換炉
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…また,サバンナ・リバーのプルトニウム生産炉で用いられた重水減速冷却型の考え方は,初期のころ研究用原子炉として各国で研究された。重水は,普通の水とちがって中性子を吸収する性質が弱いので,重水炉では天然ウランを用いることができる。しかし,高価な重水の損失を低減するため,減速材,冷却材としての重水をそれぞれ区分し,冷却材流路を圧力管型とする原子炉がカナダで開発され,いわゆるCANDU炉の原型となった。…
… 使用材料による分類もよく行われる。燃料による分類としては天然ウラン炉,濃縮ウラン炉,減速材による分類としては黒鉛炉,重水炉,軽水炉,ベリリウム炉など,冷却材による分類としてはガス冷却炉,水冷却炉,ナトリウム冷却炉などがある。軽水減速軽水冷却炉はしばしば軽水炉と呼ばれるが,これには冷却水に圧力をかけ沸騰するのをおさえつつ高温水を得る加圧水冷却型と,炉心で沸騰を許して原子炉容器から蒸気を取り出す沸騰水冷却型とがある。…
※「重水炉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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