重訴状(読み)ジュウソジョウ

デジタル大辞泉 「重訴状」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐そじょう〔ヂユウソジヤウ〕【重訴状】

鎌倉室町時代訴人原告)が論人被告)の陳状に対して重ねて提出した訴状重申状

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「重訴状」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐そじょう ヂュウソジャウ【重訴状】

〘名〙
中世における幕府朝廷本所などの訴訟制度で、訴人(原告)が提出した訴状にもとづき幕府以下の裁判所が発した命令書に、論人(被告)側が従わず、また応訴して陳状(ちんじょう)も提出してこなかった場合、あるいは、訴人が一度訴状を裁判所に提出したものの、裁判が遅引して裁決が下されない場合などに、訴人が再び作成して提出した訴状。重申状、重目安、重解状とも。
高野山文書‐(寛元五年)(1247)・太田荘赤屋郷沙汰次第案「地頭非法事、重訴状〈副百姓等申状〉如此」
② 中世における幕府・朝廷・本所などの訴訟制度で、訴人が論人の陳状に対し、重ねて裁判所に提出する二問状・三問状をいう。訴訟手続の最も発達した鎌倉幕府の制度では訴状・陳状の交換による訴論人の主張の応酬は三度(三問三答)まで認められたが、公家法・本所法では二問二答が通例であった。重申状。
東寺百合文書‐は・弘安一〇年(1287)一二月・若狭国太良荘雑掌重訴状案端書「口雑掌方重訴状〈二問状案〉」

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世界大百科事典(旧版)内の重訴状の言及

【訴状】より

…書出しに差出者を記すので最後の日付の下に差出者を記さないこと,宛所(あてどころ)がないことなどが本来的な特徴である。また,中世の裁判では,三問三答といわれるように数回の訴陳状の応酬があるのが普通で,最初の訴状を本解状,初問状,2回目と3回目を二問状,三問状,後者を総じて重訴状,重申状といった。訴状が提出されると,担当の役人・奉行の確認(裏封などの形をとった)を経て,論人に交付された。…

※「重訴状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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