生物の自然集団の中でもっとも高い頻度で見いだされる表現型の系統,個体あるいはその表現型を支配している遺伝子を野生型という。しかし野生型の中にも個体によってかなりの個体差がみられ,それらが一定の平衡を保ってそれぞれの野生集団を構成していると考えられている。キイロショウジョウバエの目の色を例にとると,赤目は野生型であり,白目やエオシン目は野生型の赤目から突然変異によって生じた突然変異型である。野生型は突然変異型に対して優性の場合が多い。野生型が見当たらないときは栽培型や飼育型の中からもっとも基本的と考えられるものを選び,野生型に相当するものと考え,これを正常型または標準型ともいう。
執筆者:阪本 寧男
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