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遺伝形質 いでんけいしつ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遺伝形質
いでんけいしつ
genetic characterhereditary character

生物のもっている形や特徴のなかで遺伝するものをいう。このような遺伝する形や特徴のなかには、目で見える形や色などのほか、ある種の酵素やタンパク質などの生化学的なものもあり、また体内の組織、器官の形や機能なども含まれる。さらに、光や温度など環境に対する運動や行動、反応性などのなかにも遺伝形質として認められるものがある。
 このような遺伝形質は多くは成熟個体の特徴としてとらえられるが、生物の発生過程の特別な時期だけに発現するものもある。これらの遺伝形質は、生物の体を構成している各細胞の核の中に存在する一つの遺伝子または多くの遺伝子群によって支配され、その発現には環境条件によって影響を受けるものもある。遺伝形質には、その形質を支配する遺伝子をもっていれば、すぐに形質として発現する優性形質と、遺伝子はもっていてもほかの優性形質に覆い隠されて発現しない劣性形質とがある。また、高等生物の遺伝形質には、ヒトにおける色覚異常や血友病のように性染色体上の遺伝子によって支配される伴性遺伝形質と、ABO血液型や組織特異抗原のように、常染色体(性染色体以外の一般の染色体)上の遺伝子によって支配される非伴性遺伝形質がある。
 これらの遺伝形質を支配している細胞核中の遺伝子は、DNA(デオキシリボ核酸)を構成するアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種の塩基の配列順序によって規定され、その塩基配列のもつ遺伝情報がmRNA(メッセンジャー・リボ核酸)に転写され、さらに遺伝暗号によって、種々のアミノ酸に翻訳されて、それぞれの遺伝子に特有なタンパク質や酵素が生成される。[黒田行昭]
『駒井卓著『人類の遺伝学』(1966・培風館) ▽Sam Singer著、関谷剛男訳『人間の遺伝学』(1995・東京化学同人) ▽黒田行昭編著『21世紀への遺伝学1 基礎遺伝学』(1995・裳華房) ▽田中一朗著『よくわかる遺伝学――染色体と遺伝子』(1999・サイエンス社) ▽勾坂馨著『個人識別――法医学の最前線から』(中公新書)』

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世界大百科事典内の遺伝形質の言及

【DNA】より

核酸のうち糖成分がD‐デオキシリボースであるもので,遺伝子の本体をなす。教育や体験によらずに親から子へと自動的に伝わる性質を遺伝形質という。この遺伝形質のもととなり,またそれを親から子へと伝える物質の単位を遺伝子と呼ぶのであるが,遺伝子とは,実は細長い糸のような物質DNAにほかならない。…

※「遺伝形質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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