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量子コンピュータ りょうしコンピュータquantum computer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

量子コンピュータ
りょうしコンピュータ
quantum computer

量子力学の原理を利用した計算システム。理論上は高速で,従来のノイマン型コンピュータでは能力不足で実際上計算できない問題についても解を計算する能力もつ。通常のコンピュータの論理素子 (ビット) は1,0という二つの状態のどちらかにあるのを基礎にするが,量子コンピュータでは量子力学に特有な「重ね合わせ状態」を使って,1,0両方の状態を重ね合わせることができる量子素子 (量子ビット,キュービット qbit) を基礎にする。N個の量子ビットがあれば2のN乗個の状態を一括して並列処理することが可能で,これが高速性の起源である。 1959年に R.ファインマンが「量子力学を使えば高速計算が可能」と予測,1994年にアメリカのベル研究所の P.ショアが量子ビットを使って因数分解をするアルゴリズムを発見,いわゆる「公開鍵暗号」を破る方法として注目され,これが研究隆盛の発端となった。 1996年には L.グローバーが量子ビットでデータベース検索をするアルゴリズムを発見している。量子コンピュータの部品となる量子ビットを実際に実現する方法として,レーザーなどで空間中にトラップしたイオンを使う方法,液体中の分子を使う NMR法,半導体中につくる量子ドット,ジョセフソン接合素子などの応用が研究されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

量子コンピュータ
りょうしこんぴゅーた
quantum computer

量子力学的な波動関数の重ね合わせを利用して超並列演算を行い、既存のコンピュータの能力を飛躍的に上回ると期待されるコンピュータ。原理は、複数の波で表した入力データを、コヒーレントな波の量子重ね合わせ状態で受け取り、おのおののデータについて同時に計算処理して必要な結果を導く。このアイデアはイギリスの理論物理学者ドイチュDavid Deutschが1985年に提唱し、94年にアメリカのAT&Tの計算機科学者ショアPeter W. Shorが、これを用いるとスーパーコンピュータでも困難な巨大数の因数分解がけた外れに短時間で可能なことを理論的に示したため、公開鍵暗号システムが破れるのではと注目を浴びた。それ以後、研究が活発になっている。実現の可能性は、IBMが核磁気共鳴法により、三菱電機が光子を利用して、科学技術振興事業団(2003年10月より科学技術振興機構)とNECが超伝導回路で検証している。具体化を目ざす研究も各国で進んでいるが、計算の全過程において量子系のコヒーレンスを保たせるのが最大の難題という。[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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