仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))の十大弟子の一人。サンスクリット語スブーティSubhūtiの音写。中インドの舎衛国(シュラーバスティー)の出身。ひたすら修行に励み、他と争うことがなかったところから無諍(むじょう)第一と称せられる。原始経典にもしばしば登場するが、後の大乗経典、とくにその初期の『般若経(はんにゃきょう)』には、仏説を誘導するもっとも重要な役割を果たしており、『般若経』の中心思想である空・般若波羅蜜(はらみつ)・菩薩(ぼさつ)などの思想や実践をめぐって、そこに登場する仏と問答を交わし、その解説にあたるなど、ひとり盛んに活躍して、『般若経』ひいては大乗仏教を導き出す中心人物として描かれている。
[三枝充悳 2016年11月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…本経の成立に関しては,他の般若経典に先立って成立したとする説と,他の般若経典に遅れてその要約として作られたとする説がある。内容は,祇園精舎における仏と須菩提(しゆぼだい)(スブーティSubhūti)の対話という形式で,般若思想の根幹を簡潔に説く。本経には〈空〉という術語は用いられていないが,その思想は〈空〉の思想といってよく,原始仏教以来追求されてきた種々の宗教的価値が固定化され,執着されることを否定し,否定を通して,より高い次元に宗教的価値を実現しようとしている。…
…釈迦の死後その教団を統率し,500人の仲間とともに釈迦の教法を編集し(第一結集),付法蔵(教えの奥義を直伝すること)の第一祖となった。(4)須菩提(しゆぼだい) サンスクリット語でスブーティSubhūti。解空第一。…
※「須菩提」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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