金子鴎亭(読み)かねこおうてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金子鴎亭」の意味・わかりやすい解説

金子鴎亭
かねこおうてい
(1906―2001)

書家。北海道生まれ。本名は金子賢蔵。1929年(昭和4)北海道函館(はこだて)師範学校(現北海道教育大学)を卒業し、小学校の訓導になる。1932年東京に出て比田井天来(ひだいてんらい)に師事し、1948年毎日書道展の創設に努めた。1964年創玄書道会を設立し、近代文学の詩文を素材とした近代詩文書を開拓した。代表作の『丘壑寄懐抱(きゅうがくかいほうをよす)』により、1966年に日展文部大臣賞、1966年度の日本芸術院賞を受賞した。1973年に近代詩文書作家協会を設立、同会長、日展参事などを務める。1952年から1993年まで毎年「全国戦没者の霊」の墓標揮毫(きごう)を続けた。1990年(平成2)文化勲章受章著書に『金子鴎亭之書業』ほか。

[編集部]

『板橋区立美術館編・刊『金子鴎亭』(1993)』『金子鴎亭著、荒金大珠編『金子鴎亭書体字典』(1996・別府大学書道研究室)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金子鴎亭」の意味・わかりやすい解説

金子鴎亭
かねこおうてい

[生]1906.5.9. 北海道
[没]2001.11.5. 東京
書家。本名は賢蔵。 1929年函館師範学校 (現・北海道教育大学) 卒業。小学訓導を経て上京し (32) ,比田井天来に学ぶ。六朝北魏の楷書木簡などを研究する一方で,48年の毎日書道展創設に力を注ぎ,64年には創玄書道会を結成。近代文学を素材として,現代の人々にも読みやすく,かつ心に訴えかける調和体の書体に独自の造形性と深い思想性を融合させた「近代詩文書」を提唱。 73年近代詩文書作家協会を設立。 66年『丘壑寄懐抱 (きゅうがくかいほうをよす) 』で日展文部大臣賞,翌年芸術院賞を受賞。 72年『翔鸞』,75年『リオデジャネイロ』を発表。検定教科書『小学書方』『標準中学習字』『標準高等書道』を執筆。さらに 52年から 93年までの「全国戦没者の霊」墓標の揮毫でも知られる。 90年文化勲章を受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「金子鴎亭」の解説

金子鴎亭 かねこ-おうてい

1906-2001 昭和-平成時代の書家。
明治39年5月9日生まれ。比田井天来に師事。昭和23年毎日書道展創設につくす。41年「丘壑寄懐抱(きゅうがくかいほうをよす)」で日展文部大臣賞。42年芸術院賞。平成2年文化勲章。長年にわたり近代詩文書運動をすすめ,現代書に新分野をひらいた。創玄書道会会長。平成13年11月5日死去。95歳。北海道出身。函館師範(現北海道教育大)卒。本名は賢蔵。

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