銀の匙(読み)ギンノサジ

デジタル大辞泉 「銀の匙」の意味・読み・例文・類語

ぎんのさじ【銀の匙】

中勘助なかかんすけ小説前編は大正2年(1913)、後編は大正4年(1915)発表。作者の幼少年時に取材した自伝的作品で、正義と自由と美にあこがれる少年の世界を繊細に描く。

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精選版 日本国語大辞典 「銀の匙」の意味・読み・例文・類語

ぎんのさじ【銀の匙】

  1. 長編小説中勘助作。前編大正二年(一九一三)、後編同四年発表。成人した主人公が、幼い頃からしだいに少年の目覚めてゆく間のさまざまなエピソードを、みずみずしい感受性でたどる。大人視点を免れた子供の世界が展開される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「銀の匙」の意味・わかりやすい解説

銀の匙
ぎんのさじ

中勘助(なかかんすけ)の長編小説。前編は1913年(大正2)4~6月、後編は15年4~6月に『東京朝日新聞』に連載。脱俗孤高の文学者として知られる彼の幼少年期を浮き彫りにした自伝小説で、夏目漱石(そうせき)はこれを子供の世界の描写として未曽有(みぞう)のものであると激賞した。この作品の底には、生きる苦悩を知り始めた少年の正義と自由と美に憧(あこが)れるせつない思いが込められている。この深い思いのなかに、その後の思想的道徳的発展時流に染まぬ彼の文学の謎(なぞ)が秘められている。

[渡辺外喜三郎]

『『銀の匙』(岩波文庫)』

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