長命寺(滋賀県)(読み)ちょうめいじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長命寺(滋賀県)」の意味・わかりやすい解説

長命寺(滋賀県)
ちょうめいじ

滋賀県近江八幡(おうみはちまん)市長命寺町にある天台系の単立寺院。姨綺耶山(いきやさん)と号する。本尊千手(せんじゅ)・十一面・聖観音(しょうかんのん)の三尊。西国(さいごく)三十三所第31番札所。寺伝によると、聖徳太子により創建されたといい、本尊の三尊も太子作と伝えられる。寺号は、長命寺山の巨木に「寿命長遠諸願成就」と刻んで祈願した武内宿禰(たけしうちのすくね)の長命にちなんで太子が命名したといい、以後歴代天皇の厚い尊信を得て寺勢盛んになっていった。花山院(かざんいん)の残した勅吟の和歌は西国巡礼の御詠歌としていまも親しまれている。1184年(元暦1)、近江守護佐々木定綱(さだつな)が父秀義(ひでよし)の追福のため本堂はじめ諸堂を建立整備し、1270年(文永7)には後深草(ごふかくさ)上皇が蒙古(もうこ)来攻にあたって国家安泰を当寺で祈願した。室町末期の兵火により焼失したが、1583年(天正11)豊臣(とよとみ)秀吉から寺領を受け、1590年再興したのが現在の建物である。本堂、三重塔護摩(ごま)堂、鐘楼三仏(さんぶつ)堂、護法権現社(ごほうごんげんしゃ)拝殿は国の重要文化財に指定されている。また寺宝地蔵菩薩(ぼさつ)立像毘沙門天(びしゃもんてん)立像など多くの国重要文化財がある。

[大鹿実秋]


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