日本大百科全書(ニッポニカ) 「閃マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説
閃マンガン鉱
せんまんがんこう
alabandite
マンガンの鉱石鉱物の一つ。低~中温熱水鉱床、変成層状マンガン鉱床、隕石(いんせき)中などに産し、菱(りょう)マンガン鉱やマンガン珪(けい)酸塩と共存するほか、閃(せん)亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱などとともに産する。中性ないしアルカリ性の環境下での産物である。ランベルグ鉱rambergite(化学式β-MnS)と同質異像の関係にある。自形は立方体または正八面体であるが、自形結晶はきわめてまれ。日本では、北海道八雲(やくも)町八雲鉱山(閉山)、同上ノ国(かみのくに)町上国(じょうこく)鉱山(閉山)、岩手県九戸(くのへ)郡野田村野田玉川鉱山(閉山)、群馬県勢多(せた)郡東村(現、みどり市東町)萩平(はぎだいら)鉱山(閉山)など産出例は多い。英名は小アジアの地名アラバンダAlabandaにちなむ。
[加藤 昭 2017年8月21日]