強力な瞬間光(せん光)によって試料に光分解反応を起こさせ,遊離基(ラジカル)やイオンなどの反応中間体を作り出すとともに,それらを検出する方法。フラッシュ光分解法ともよばれる。三重項状態などの電子励起状態もこの方法で観測される。せん光光源としては希ガス放電管やエアギャップが用いられる。これらの光源の両極に大容量のコンデンサー(1~1000μF)をつなぎ,それを10~20kVの高電圧で充電した後,瞬時に放電させると持続時間が1~10μs程度の強力なせん光が得られる。その強度は光子数にして1010~1020個/s程度であって,多量の試料が瞬間的に分解される。得られた反応性中間体を検出するには,通常,せん光分解後の試料に別のせん光光源からの光を照射して光吸収スペクトルを測定する。通常の光化学反応はいくつかの素反応過程を経て起こる。光分解用光源とスペクトル測定用光源の発光の間隔を遅延回路を用いて変えながら実験を行うと,これらの素反応過程に応じて生じる反応中間体がつぎつぎととらえられ,またそれらの寿命を知ることができる。反応中間体検出の方法としては吸収スペクトルを用いる方法のほかに,蛍光測定,時間分解質量分析,電子スピン共鳴,赤外検出等による方法がある。せん光法によってヒドロキシOH,イミノNH,スルフィニルSO,メチリジンCH,シアノCN,アミノNH2,メチレンCH2,メチルCH3などの遊離基やそれらの再結合反応の中間体,有機分子の三重項状態などが検出されている。最近では,光源として窒素ガスN2レーザーや色素レーザーなどの繰返しパルス光を用いることによって,10ns~μs程度の時間領域のせん光分解が行われるようになった。このようなパルスレーザーを用いるせん光法(レーザーホトリシス)によって,光化学反応機構のより詳細な研究が可能になっている。
執筆者:原田 義也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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