開環(読み)かいかん(その他表記)ring-opening
ring-cleavage

改訂新版 世界大百科事典 「開環」の意味・わかりやすい解説

開環 (かいかん)
ring-opening
ring-cleavage

環式化合物反応において,環が開裂して鎖式化合物に変化すること。環式化合物のうちで6員環が最も安定であるが,それより大きくても小さくても不安定となる。とくに環が小さくなると,開環を起こしやすくなる傾向がある。たとえば,シクロプロパン硫酸と容易に反応して開環し,プロピルアルコールとなる。

これはシクロプロパン環が環のひずみによって不安定になっているためであり,6員環のシクロヘキサンでは安定なためにこのような開裂反応は起こさない。シクロプロパン系よりも環のひずみの少ないシクロブタンでは,開裂を起こしにくくなるが,シクロブテンは4員環に二重結合があるためひずみが大きくなり不安定となるため開裂を起こしてブタジエンとなる。

6員環など安定な環でも特殊な反応条件下では環開裂を起こす。たとえば,ジオールは過ヨウ素酸ナトリウムNaIO4と反応してジアルデヒドとなる。

環式エステルラクトンという)や環式アミド(ラクタムという)などは加水分解により開環して,それぞれヒドロキシ酸およびアミノ酸を与える。

カテコールコバルト(Ⅱ)塩の存在下で過酢酸を作用させると開環してムコン酸を生成する。

エポキシドは酸により開環し,ジオールとなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「開環」の意味・わかりやすい解説

開環
かいかん
ring opening

環式化合物が反応の際に開裂して、鎖式化合物(脂肪族化合物)になることをいう。たとえば環式不飽和化合物は、オゾン分解によって開環するし、分子内エステルであるラクトンは、加水分解により開環してヒドロキシ酸になる。

[佐藤武雄・垣内 弘・廣田 穰]

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