閣僚理事会(読み)かくりょうりじかい(その他表記)Council of the European Union

日本大百科全書(ニッポニカ) 「閣僚理事会」の意味・わかりやすい解説

閣僚理事会
かくりょうりじかい
Council of the European Union

EU(ヨーロッパ連合)の主要機関の一つで、加盟国の閣僚級の政府代表により構成される。ブリュッセル会合する。なお、欧州理事会European Council(ヨーロッパ理事会)は首脳級の会合であり別物である。

 閣僚理事会は、EUの立法を採択し、EU各国間の政策を調整する。2018年時点では10部門に分かれ、総合、外務、農漁業、競争力、経済・財政、環境、雇用・社会・厚生、教育・文化、司法内務、運輸通信の部門ごとに理事会を開催する。総合理事会は他の理事会間の調整を行い、また横断的問題を扱う。各理事会の議長は、議長国(半年交代で加盟国が輪番で担当する)の閣僚が務めるが、リスボン条約以降は、外務理事会だけはEU上級代表(外務大臣に相当)が議長を務めるようになった。

 閣僚理事会の意思決定方式は、対象事項により異なる。かつては全会一致の事項が多かったが、基本条約の改正を経て、特定多数決の事項が大部分となった。ただし全会一致や単純多数決の事項も多少残る。リスボン条約のもとでの特定多数決は、(1)55%の国が賛成し、かつ、(2)賛成諸国の人口合計がEU総人口の65%に達すれば多数決が成立する。もっとも実務慣行では、投票に訴えずコンセンサスで決定することがほとんどである。

 閣僚理事会は、立法と行政両面に関与する。立法については、欧州委員会(ヨーロッパ委員会)が提出した法案を(欧州議会ヨーロッパ議会)とともに)採択する。行政については、閣僚理事会が外交・安全保障政策上の措置をとることや、それ以外の政策分野での欧州委員会の行政権行使を監視し、必要な場合、欧州委員会にかわって行政権を行使することがそれである。

 閣僚理事会の下には準備的な意思決定機関である常駐代表委員会(COREPER(コルペール):Comité des représentants permanents)がある。これは加盟国の大使級代表がブリュッセルに常駐して定期的に会合をもち、閣僚理事会に先だって加盟諸国間で交渉を進め、そこで合意できなかった議題を中心に閣僚理事会で審議してもらうくふうである。

[中村民雄 2018年6月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閣僚理事会」の意味・わかりやすい解説

閣僚理事会
かくりょうりじかい

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