EU(ヨーロッパ連合)の全政策領域について、大局的見地から指針を示す首脳級の機関。一般に欧州理事会とよばれる。この欧州理事会と閣僚理事会Council of the European Unionは混同しやすいが、前者は首脳級、後者は閣僚級の会合であり、別である。
欧州理事会は、EU加盟諸国の首脳(国家元首または政府の長)、欧州委員会(ヨーロッパ委員会)委員長および欧州理事会理事長で構成する。議長は欧州理事会理事長が務める。半年に2回、合計年4回の定例会合があり、ほかにも理事長は臨時会合を必要に応じて招集できる。
欧州理事会は、大局的見地からEU全領域の運営方針を示し、また特定事項についてのEUとしての行動を示す。実務慣行では、このほかにも閣僚理事会で決着がつかなかった事案について政治決着をつける場としても利用される。立法には関与せず、欧州理事会が示した内容が立法措置を要する場合は、欧州委員会・閣僚理事会・欧州議会(ヨーロッパ議会)の三者が関与して立法する。ただし、共通外交・安全保障・防衛政策上の措置は、欧州理事会の指針に基づき、閣僚理事会が具体的な措置を決定する。
欧州理事会の意思決定は、全会一致で行うものと定められているが、実務慣行では投票に訴えずコンセンサスで決定することがほとんどである。
なお、欧州理事会の理事長は、リスボン条約で新設された職位である。EU大統領と訳されることもあるが、アメリカの大統領などとは異なり、行政権をいっさいもたない。理事長は、欧州理事会を招集し議長を務め、対外的にはEU外交の顔として世界の首脳級会合でEUを代表できるだけである。
[中村民雄 2018年6月19日]
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…この議定書にもとづく改革そのものは,内容的に穏当なものであったが,ミラノで採択された〈域内市場白書〉とともに,〈1992年ブーム〉を引き起こし,1980年代前半ヨーロッパに流布していたヨーロッパ悲観論を払拭し,統合を再活性化するのに成功した。1990年12月ふたたび条約改正のための政府間会議が招集され,1991年12月9‐10日マーストリヒトで開催されたヨーロッパ理事会で大枠について合意が成立し,1992年2月7日マーストリヒト条約が調印された。マーストリヒト条約でECはEUの一部をなすようになったが,依然としてECが中核となっている。…
…第2,第3の柱は超国家的ではなく,構成国の全会一致を基本とした政府間協力にとどまっている。制度的には,EC理事会とヨーロッパ政治協力外相会議はヨーロッパ理事会に統一され,EC委員会も名称がヨーロッパ委員会に変更された。 さらにEUでは3度目の条約改正作業が行われ,その成果は1997年10月2日に調印されたアムステルダム条約となった。…
…第2,第3の柱は超国家的ではなく,構成国の全会一致を基本とした政府間協力にとどまっている。制度的には,EC理事会とヨーロッパ政治協力外相会議はヨーロッパ理事会に統一され,EC委員会も名称がヨーロッパ委員会に変更された。 さらにEUでは3度目の条約改正作業が行われ,その成果は1997年10月2日に調印されたアムステルダム条約となった。…
※「ヨーロッパ理事会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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